東京ディズニー運営のOLC、上場来初の通期赤字予想 コロナでの休園が大打撃

2020年10月30日 16:23

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■売上高は76.2%減、大幅赤字に転落

 東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランド(OLC・4661)は29日、21年3月期第2四半期累計(20年4月~20年9月)の連結決算および、通期業績予想を発表した。コロナ禍の影響もあり未開示としていた通期業績予想だが、売上高は前年比60.1%減の1854億6000万円、営業損益は514億円の赤字、純損益は511億1000万円の赤字と、上場来初の通期赤字を予想した。

【第1四半期は】オリエンタルランド、1Qは新型コロナウイルスの影響によるテーマパークの臨時休業等で減収減益

 第2四半期累計の売上高は、前年同期比76.2%減の591億4900万円、営業損益は241億7800万円の赤字、純損益は300億9500万円の赤字だった。新型コロナウイルス感染症の影響を直に受けたテーマパークの中でも、トップの集客数を誇る東京ディズニーリゾートの影響は計り知れないものになった。

■休園後も入場制限や営業時間短縮で業績改善まで道半ば

 東京ディズニーリゾートが過去最高入園者数を更新し、好調な業績を見せていたOLCにとって、新型コロナウイルス感染症の影響は死活問題となった。感染が拡大を見せていた2020年2月末から休園し、営業再開となったのは7月1日からだった。約4カ月の休園の間、ホテルや物品販売も含めほぼ稼働しておらず、第1四半期の売上高は前年同期比94.9%減と壊滅的状態だった。

 7月以降に営業再開となったものの、入場制限等感染予防対策を講じる必要があるため、以前のような集客は見込めず、今後もしばらく厳しい状況が続くことが想定される。併せて第2四半期の配当は1株あたり13円と前期の22円より9円減配を発表し、期末配当も13円(前期22円)と通期で大幅減配と予想する。手元流動資金確保のため、役員報酬の引き下げや従業員の冬季賞与の減額と厳しさがにじむ。

■新エリアオープンや新アトラクション建設に向け

 当初4月にオープンする予定だった東京ディズニーランドの新エリアは、9月28日にオープンした。人気コンテンツの美女と野獣をモチーフにした新エリアは、すでにディズニーファンを楽しませている。また、2021年以降はトイ・ストーリーをテーマとしたホテルの建設等、引き続き成長投資を行う方針だ。

 そのため、3月末時点で4111億円程度まで落ち込んでいた手元流動資金を、9月末時点で7030億円まで増加させている。コミットメントラインと社債発行によって当面の資金繰りを確保したことから、コロナ禍で利益を出すための方策を模索していると言えるだろう。根強いファンが多いOLCにとっては、コロナ禍を通じて成長できるかが今後のキーポイントとなるであろう。(記事:拓蔵・記事一覧を見る

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