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時間貸し駐車場のパラカとの出会いは、かれこれ10数年前になる。会社四季報の外部ライターを務めている時の、担当企業の1社だった。パラカは現在、専業業者にあってパーク24/日本駐車場開発に次いで売上高で第3位。売上高シェアは3.8%。パーク24との間には約80ポイントの開きがある。
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担当するに当たって設立来の展開を調べてみた。何と言ってもびっくりしたのは、設立が1997年ということだった。この年には大手証券(三洋証券、山一證券)、大手銀行(北海道拓殖銀行)が相次いで破綻に追い込まれている。まさに「日本経済、失われた20年」の入り口に当たる時期だった。しかしパラカは設立から7年余で上場した。
年に4回(2・5・8・11月)に取材を重ねるうちに、「味のある企業だな」という重いが強くなっていった。
時間貸し駐車場の主力は「賃貸駐車場」。土地オーナーからサブリースのような形で土地を借り駐車場を設営し運営する。パラカも6月末で自社保有地に駐車場を222件/4495車室を展開しているが、賃貸駐車場は1909件/2万7187車室を運営している。
四季報での取材当時「例えば月間の利用台数は一定ではないはず。それでも1車室につき一定料金を地主に支払うのか」という素朴な疑問を持った。問うた。「一定期間の利用台数に応じた支払い方式の契約を結ぼうとしているが、なかなか思うように進まない」と聞かされた。
賃貸型の時間貸し駐車は「リスクを取りに行くビジネスの一面が否定できないな」と思った。自社地型駐車場でも、後発組ゆえに「地方都市の駅前駐車場」開発に注力せざるをえないという面にも晒されていた。
だがこの点でも、業界にあって早い時期に「駐車場の証券化」を実施し切り抜けてきた。収益が出る状態にすることが大前提だが、実現早々にも利回りの良い小口の金融商品として売ってしまう。投資資金を一気に回収し、運営権だけを残すという枠組みだ。
地主が利用法に頭を抱えている(狭小or変形)地などに関しては、「軽自動車(orバイク)専用駐車場」として提案していた。いま共に代表権を持つ内藤亨会長も間嶋正明社長も「CO2の排出量が普通車の60%という環境配慮からの発想でもあった」としているが、あえて「後付け講釈」とは言うまい。
そんなパラカも新型コロナウイルス禍で、例えば4月の駐車場料金売上高は前年同月比25%減を強いられた。が、52億円強のFCFを有するなど、体制は盤石。今9月期も連続増配の構えを変えていないし(本校作成時時価比、予想税引き後配当利回り2.7%弱)、開発中の駐車場決済アプリの商談を秋以降に予定している。
前期の社員1人当たりの営業利益は3000万円強と、業界首位を大きく上回っている。「しばらく見ぬ間に、いい企業になったものだ」が実感である。(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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