出光興産、1Qは在庫影響や石油製品の需要減などで減益 連結業績予想は5月公表値から修正なし

2020年9月10日 18:34

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記事提供元:ログミーファイナンス

出光興産、1Qは在庫影響や石油製品の需要減などで減益 連結業績予想は5月公表値から修正なし

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決算サマリー

酒井則明氏:出光興産の酒井です。この7月から、前任の鷺島に代わり担当させていただいていますので、よろしくお願いします。資料に沿って第1四半期決算の内容についてご説明します。

まず、2ページのサマリーです。概要にあるように、この第1四半期はとくに在庫影響による大幅な減益がありました。それ以外にも、コロナ影響により、燃料油セグメントの石油製品の需要減や、ベトナムのNSRPの持分法の投資損失といった影響を受け、減益となっています。また、年度の連結の業績予想については、5月26日に公表した数字を据え置きます。

また、決算の主な数字を表示しています。営業+持分利益でマイナス975億円であり、在庫影響がマイナス944億円と、大きな在庫評価損が発生しました。在庫影響を除いても、この第1四半期はマイナス31億円ということで、前年同期比で減益となりました。当期純利益はマイナス813億円です。

配当予想について、5月の時点では当期の配当は未定としていましたが、今回は中間60円、期末も同様に60円、年間で120円の配当予想としています。

トピックス①

3ページから4ページにかけて、トピックスを3点記載しています。コロナ影響とベトナムニソン、そして原油の在庫の評価損のイメージです。まず、コロナウイルスですが、表に示しているのは主要4品です。石油製品主要品の前年対比の販売数量をパーセンテージでお示ししています。やはり4月、5月の落ち込みが大変大きく、6月に若干回復というイメージです。

JET燃料は、4月から6月まで前年対比で20パーセント台と、大変大きな落ち込みで、とくに国際線の落ち込みが顕著です。7月以降は若干回復傾向にありますが、今後の見通しとしては、足元では第2波とも思える感染者の拡大が続いていますので、先行きは不透明です。

また、基礎化学製品市況の軟化、資源価格の下落、そして高機能材の分野においても需要減少等、収支へのマイナス影響が出ています。

ベトナムのニソン製油所については、必要なメンテナンスの工事が完了し、今年年明け以降、安定操業を継続中です。また、収支については、私どもの決算と同じく、1月から3月の原油価格の急落を受けて大きな在庫影響、タイムラグが発生しました。これを主な要因として、第1四半期の実績についても前年対比で大幅な減益となっています。

トピックス②

4ページをご覧ください。在庫影響をお示ししていますが、これはアラビアンライトを例にとって、価格の推移を表したものです。3月をご覧いただくと、「3月価格」と記載しており、その右下に37ドルとあります。それに対して、4月、5月、6月は19ドルから30ドル台半ばまで徐々に上昇していますが、4月から6月の平均で見ると約26ドルです。

それに対して、期首になります3月価格は37ドルです。このような大変大きな開きがある影響で、マイナス944億円という大きな在庫影響が出ました。足元、原油価格は40ドル台で推移していますが、今の足元の原油価格の水準がこのまま継続すると、年度内にはほぼこの在庫影響は解消されると見込まれます。

事業環境

5ページをご覧ください。事業環境として、3つのグラフを用意しました。まず、指標原油のドバイです。今期の第1四半期のドバイは平均で30.5ドル、前年同期比で半分以下の価格水準となりました。中央はオーストラリアのNEWC(一般炭)の市況です。これも前年同期と比べて大きく下落しており、第1四半期では67.8ドルです。一番右は為替レートですが、前年同期対比で2円30銭ほど円高という結果になっています。

決算概要

6ページには連結の損益計算書を載せています。まず、売上高はこの第1四半期9,828億円で、資源相場の下落を受け、前年対比では大幅な減収となりました。営業+持分、当期純利益はサマリーのページでご覧いただいたものと同じです。

特別損益に関しては、前年の第1四半期は179億円の益、今期の第1四半期は44億円の損ということで、差し引きで223億円悪化しています。前年は昭和シェル石油と出光との経営統合に伴い、段階取得差益172億円がありましたので、これが主な要因です。

今期のマイナス44億円は通常発生しますが、サービスステーションや製油所、工場絡みの固定資産の売却損、除却損などに加えて、在外子会社での損失なども計上した結果です。

セグメント別情報①

7ページでは、セグメント別の数字をご覧いただきます。もうおわかりのとおり、全セグメントにわたり、前年同期対比では減益という結果になりました。中でも、燃料油のセグメントが在庫影響もあり、大変大きな前年対比の減益となっています。具体的には、次のページ以降でご説明します。

セグメント別情報②

8ページにはチャートをご用意しています。これが、全セグメントの主な収支の増減要因を1枚にまとめたものですが、在庫影響は除いています。この中にマイナス・プラスそれぞれの数字が出ていますが、次の9ページ以降で主なポイントについてご説明します。

セグメント別情報③

9ページは燃料油のセグメントです。燃料油セグメントは、前年比ではマイナス129億円となりました。数量要因としては、主燃料(ガソリン・灯油・軽油・A重油)の数量の減少でマイナス96億円です。また、スライド左の棒グラフは販売量です。第1四半期をご覧いただきますと、主燃料では前年対比では87.8パーセントと記載しています。とくにこの中で、ガソリンは前年対比では80.6パーセントと、大変大きな落ち込みでした。

スライドの右には、マージンのイメージをグラフにしています。赤の実線は原油の揚げベース、点線の部分は原油の積みベースで推移を示しており、国内の陸上スポットの価格となっています。ガソリン・灯油・軽油・A重油それぞれの油種の平均のマージンと、アラビアンライトのCIFベースの価格との差を表しています。これを一応マージンと見立て、推移をお示ししています。

実際に決算に影響しているのは揚げベースになりますので、赤の実線がその動きを示しています。今期の第1四半期は、前年の第1四半期とほぼ同レベルの水準にありますが、詳しくは若干プラスです。リットルあたりで言うと40銭、若干前年同期比ではプラスに出ています。これが先ほどチャートにもありました、マージンのプラス28億円の要因です。

また、持分他でマイナス61億円がありました。これにはプラスとマイナスの要因が含まれています。まず、持分損益です。これは前年比でマイナス244億円と、大きな減益となりました。この要因は、主にベトナムのニソン、NSRPのマイナスだとお考えいただければけっこうです。

また、JETの数量について、サマリーのところで「大変大きな落ち込みをしている」とお伝えしましたが、このJETの数量減の影響がマイナス60億円です。それ以外には、主要4品とJET以外の石油製品、ナフサやC重油など、もろもろのマージンが前年同期よりも改善したことや、コスト減等々、もろもろの要因があります。

セグメント別情報④

次に、10ページをご覧ください。基礎化学品は前年比でマイナス57億円です。基礎化学品セグメントについては、需要そのものはコロナ影響で減少はしているものの、私どもの販売に与える影響について、この第1四半期はほぼありませんでした。このマイナスの要因はマージンの縮小によるものであり、そこにお示ししているように、パラキシレンからスチレンモノマーまで、それぞれの製品でマージンの縮小が見られました。

高機能材セグメントは前年比マイナス17億円です。このマイナス17億円の主な理由は、潤滑油の減販によるものです。これもコロナウイルスの影響ですが、自動車向けなどを中心に需要の減少に伴って潤滑油の販売数量が落ち込みました。

電力・再エネセグメントは前年比マイナス8億円です。電力事業については、コロナの影響で工場の稼働減などはありますが、とくに低圧の小売の契約件数が順調に伸びています。その結果、電力事業トータルとしてはほぼ前年並みです。

一方、ソーラーはコロナ影響により、着工を控えたり遅れたりしている住宅等、要因がいろいろあり、パネルの販売そのものも減少しています。足元も計画的にコスト低減の取り組みを続けていますので、その効果は出ていますが、販売減の影響がそれを上回り、ソーラーでは前年比で減益となりました。

セグメント別情報⑤

次に、資源のセグメントをご覧ください。グラフを2つご用意しました。石油開発と石炭です。石油開発は前年比マイナス45億円です。棒グラフが生産数量、折れ線グラフがブレントの価格の推移を示しています。まず数量ですが、BOE換算で約15万BOEです。生産量は減ったかたちになりました。マイナス45億円のうちのマイナス13億円が、その数量要因です。残りの32億円が価格要因であり、ブレントの価格の減によるものです。

石炭はマイナス85億円です。数量については約13万トン数量が減っており、この影響はマイナス7億円です。石炭のセグメントは価格要因がマイナス89億円ありますので、これが主な要因です。トータルのマイナス85億円との差は、為替の要因でプラスが出ていることによるものです。以上が、各セグメント別の主な増減要因でした。

財務状況

12ページでは、財務の状況をお示ししています、バランスシートの表をご覧ください。この6月末は総資産が3兆6,356億円ということで、前年期末との対比で2,513億円減少しました。この主な要因は、今の資源相場等を受けて、売掛債権・たな卸資産が減少している影響です。もちろん買掛も減っていますが、運転資本自体が減少していることが主なものです。

また、株主資本をご覧いただくと、前期末対比では1,230億円減少しています。今期の純損失が税引後で813億円のマイナス、前年度の期末配当金の支払いが238億円、為替の換算調整の影響でマイナス159億円といったことが効いてきています。このような要因により、株主資本が約1,200億円減少したということです。

有利子負債は前期末と比べて936億円増えたかたちになっています。この要因には、手元の資金を少し厚めに持っていた関係で約500億円の手元資金を増やしていることや、先ほどお伝えした約240億円の配当金等があります。私からは以上です。

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