マツダ・水素ロータリーエンジン EVによる自動車産業の雇用喪失を防げるか? (1)

2020年8月21日 20:20

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 EV(電気自動車)の主要部品であるリチウムイオン電池の生産は、中国・韓国・日本の3国のメーカーで現在、占められている。ボッシュが諦めてしまった今、欧州自動車メーカー、サプライヤーの名は見当たらない。中国:CATL(寧徳時代新能源科技)、BYD(比亜迪)、日本:トヨタ自動車・パナソニック連合、韓国:LG Chem、Samsung SDIと、欧州自動車メーカーはEVを製造するための電池を、これらの電池メーカーから買ってくるしかない。

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 欧州自動車メーカーは、ディーゼルエンジン不正が問題視されて以来、排ガス、燃費規制においてトヨタのガソリンエンジンベースのHVを警戒し、BEV(純電気自動車)に移行することを促してきた。しかし足元をよく見れば、BEVでは、エンジンやミッションなど欧州自動車メーカーが得意とする精密機械部品が必要なくなり、部品点数は半減してしまう可能性があるのだ。

 すると困ったことに、生産台数が倍増しない限り、サプライヤーを含めて欧州の自動車産業では雇用を確保することが出来なくなってしまう。これでは国民の生活に大打撃を与えてしまい、産業政策としては、大失敗と言わざるを得ない。

 さらには、精密機械部品がなくなることで中国・韓国などの自動車産業後進国に対して技術的優位性を保てなくなり、世界最大の自動車市場となった中国国内だけでなく、世界市場そのものでも駆逐されてしまう可能性が大きいのだ。そのことにようやく気付いた欧州各国は、その解決策を急速に考えてきたのだ。

 だが、「今更なんだ」と言いたいところだ。2020年から21年にかけては、欧州各社がBEV車種を次々に発表してくる。いわば「BEV元年」と言える状態だからだ。そこに水素社会を作ろうと、これまた急速に言い出したわけだ。確かに気付いて見れば、BEVは東アジアのメーカーが主導権を握るかもしれない。

 「水素燃料」と言っても、トヨタが特許を公開したFCV(燃料電池自動車)ではない。欧州勢は、これまでのガソリンエンジン車の燃料をガソリンから水素に変えるだけにしたいのだ。水素と言ってもFCVに使う純粋水素ではなく、CH4(メタン)ガスをe-gasと呼んで、これまでのレシプロエンジンで使おうとするものだ。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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