素人にとっての良いクルマ

2020年5月26日 13:50

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一目で欲しくなるデザインのいすゞ117クーペ。©sawahajime

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●一般ユーザーの感覚

 現役時代に、技術者相手によく嫌ごとを云っていた。「車の素人」である一般ユーザーは、自動車メーカーの技術者がどんな思いで車作りをしているかなんて、関心は無いのだと。

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 こんな例がある。

 オートマチックミッションの車は、信号待ちで「ニュートラル」にして停車していて、信号が変わってスタートする際に「ドライブレンジ」にシフトすると、FR車の場合は少し尻が下がる。

 技術者は、この沈み込む現象を極力無くそうと、いろいろ苦労する。

 ところが、ある日ユーザーと話していたら、ライバルである某社の車は「いかにも走り出すぞ」といった感じで、クラウチングスタートみたいに沈み込むのに、「この車は殆ど沈まないからつまらない」と云われた。

 技術者は結果的には、一般ユーザーが好む感覚と正反対の、まるで不評を受けたくて苦労をしていた事になる。

 そんな訳で、技術屋とのやりとりでは、先ずは目に付くデザイン、そしてその車の存在に気が付いてもらったら「素人受けするのが売れる車だ」と云っては、嫌われていた。

●いすゞフローリアンと117クーペ、VWビートルとカルマンギア

 いすゞ117クーペは、4ドア6ライトのセダンであるフローリアンとシャーシ、ドライブトレーンを共有するクーペモデルだ。

 車名の由来は「開発コード番号で、117サルーン」のコードネームにより開発されていたフローリアンのクーペ版としての位置づけで、コンセプト、デザイン、パッケージ、スタイリングはカロッツェリア・ギアに委託され、当時のチーフデザイナー、ジウジアーロが担当した。

 カルマンギアは、VWワーゲン・ビートルをベースに開発された。

 ドイツのコーチビルダー、カルマンが企画し、イタリアのカロッツェリア・ギアのデザインに基づいてボディを生産、これにフォルクスワーゲン量産車のコンポーネンツを組み合わせる合作作業により誕生した車で、ネーミングの由来もカロッツェリアとコーチビルダー両者の社名を組み合わせたものである。
 
 上記2車種は、そのコンセプトは全く異なり、価格も違うが、中身は基本的には共通だ。しかし、一目見た印象は全く異なる。

 予算等を無視すれば、第一印象は誰しも117クーペ、カルマンギアに惹かれるだろう。


 Photo:一目で欲しくなるデザインのいすゞ117クーペ。©sawahajime

●第一印象が大事

 セクハラ発言との非難覚悟で云えば、女の子に声を掛けるときは、「見た目」が決定的だ。

 Aちゃんは「見た目は美人でスタイルも抜群だが、性格は悪いし、常識に欠け、頭もあまり良くないし、料理は下手な上に、家柄も~」。Bちゃんは「性格は良いし、健康で頭も良く、料理も上手で家柄も申し分無いが、顔とスタイルは今イチ」だとしたら、最初からBちゃんにアプローチする男子は居ないだろう。

 人間の場合は、見てくれに惑わされて結婚してから後悔しても後の祭り。

 車の場合は、Aちゃんを選んでしまった様な場合、「失敗した!」と後悔したら、多少お財布にダメージがあるが、代替えすれば良いだけだ。

 だから、最初に一目見てアプローチしてもらえる事が大事で、「第一印象がカッコ良い車を作るべき」と。

 見合い写真段階で「パス」となるか、「会って見ようか」となるかの分かれ道はやはり「第一印象」。ユーザーの「予備選択」=「マインドシェア」を高めれば、商談機会が多くなる。

 カタログを一目見て欲しくなる、ボディラインと素敵なボディカラー。豪華な仕様。

 バックする際に、車の真上から見ている様なモニター画像とか、ギミックみたいな装備も素人受けするだろう。

 そこで実際に現車を見て、室内の広さやドライビングポジションを確かめる。一旦、購入検討する車種に仲間入り出来たら、カタログを詳細に見て、装備なり燃費なり、ユーザーが関心を持つ項目の、具体的な数値の検討に入る。

 そして購入した結果、改めて「このクルマを選んで良かった」と思ってもらえれば、本当に良いクルマとなる。(記事:沢ハジメ・記事一覧を見る

関連キーワードフォルクスワーゲン(VW)いすゞ自動車

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