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中国・三一重工、キャタピラーとコマツに「アフターコロナ」で挑む(4/4) すぐに追いつかれる
■IT技術では「すぐに追いつかれる」
こうした「トヨタ方式」のメリットが出やすいのが、建設車両の大型重量物の特性であり、それを突き詰めてきたのが日本のコマツの強みでもあった。現在では、建設車両の世界でもITの活用が望まれており、その点についてもコマツが世界をリードしてきた。
【前回は】中国・三一重工、キャタピラーとコマツに「アフターコロナ」で挑む(3/4) 「重量物」生産
コマツの「コムトラックス」は、GPSを利用して顧客に販売した世界中の建機の稼働を遠隔監視出来るシステムだ。これを使うと世界のどこにある車両でも、その稼働中や停止中だけでなく、故障した場合でも状態がある程度判別出来る。
修理時には、概略の状況は分かっているため、あらかじめ部品を用意して現地にサービスカーを送り込むことが出来る。通常は現地に行って診断してから部品手配となることが多くなるが、これで「2度手間とならない」ことでスピーディーに安く保守が出来、メーカー、顧客ともコスト削減となる。
だがソフトで対応出来るシステム設計の世界は、「発想」が分かればすぐに追いつかれてしまうものだ。
すると、中国・三一重工でもシステム構築は出来ることとなる。また「トヨタ方式」は、「世界の工場」として中国にも浸透しており、既にまねていることである。
コマツは、さらに進歩したシステムとするため、発注から製造、整備、買い替えなどシステムの精度を上げ、範囲を広げていく方向であろうか?それとも発注のプラットフォームを従来の「コネ」と裏金の世界から、論理的な裏付けに変えることが出来るシステムが出来るのだろうか?半世紀以上前、コマツが日本社会で成功していく過程では、「政治力」がものを言ったことは知られている。
■三一重工は中国産業政策で優遇される
現状では、海外輸出が20%と少ない中国・三一重工だが、中国市場では圧倒的に優遇されて資金を蓄積していく。米国・キャタピラーは60%、日本・コマツが80%と輸出比率が大きいのだが、いずれ中国・三一重工も世界でトップ2社と競合出来ることを狙っているのであろう。
三一重工にとって、中国が圧倒的に大きな市場であることが、有利に働くことは間違いない。これは全ての産業について言えることで、中国国内産業は、中国市場で成功すれば巨大企業となることが出来、大きな資金を手に入れられる。それが世界市場に進出するときの原資となって、世界の企業にとって脅威となっている。
「アフターコロナ」を考えたとき、中国国内市場が動き出せば十分な資金的裏付けがあるため、感染拡大を先に抑え込んだ中国企業は既に「アフターコロナ」対して動き出すことが出来る。米国企業や日本企業が後れを取ることは致し方がないところだ。これに対抗するには、やはり設計・製造・生産・整備などの面で、ネット利用を前提に高度な技術力が基本となるだろう。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)
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