インナーウエアの白鳩は、新しい事業柱を確立できるか

2020年4月16日 07:46

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 白鳩は窮地を脱し、新たな位相に転じることができるのか。

【こちらも】白鳩は女性用インナーECの老舗企業

 白鳩はインナーウェアのEC事業を展開している。約180の内外ブランド品を取り扱い、品番数は女性用を中心に約1万3000に及ぶ。

 1974年に設立され2014年4月にジャスダック市場に上場を果たした。私が初めて取材したのは創業50周年を迎えるという節目の2015年だった。当時は8月期決算。15年8月期の営業利益は1億6000万円、16年8月期1億7900万円。最大級のインナーウェア商品をネット通販で展開してきたそんな同社が今、大きな曲がり角を迎えている。「数字」がそれを如実に物語っている。

*前2月期は6カ月の変則決算。営業利益700万円も、18年8月期実績1億9900万円に比べると明らかに低下している。今2月期は「5000万円」計画でスタートしたが、1月14日に4600万円の営業損失に下方修正。「提携先の大手配送業者の料金値上げ⇔顧客への送料負担策がマイナスイメージを強めた」「暖秋の影響」と白鳩はしたが、説得力の乏しさは誰の目にも明らか。

*株価も本校作成時点で200円台半ば。昨年来高値411円(3月29日)/同安値276円(9月3日)を勘案すると、安値ゾーンでの終始状態。ちなみに上場初値760円から見ると4分の1水準。

 そうした流れの中で同社は「ビジネスモデルの転換」とも言うべき策に動き始めた。「自社システムの他社への販売」。18年に始まった至23年2月期の中計で打ち出された。白鳩では、こう説明している。

 「前々から社内では“システムの外販”の声が上がっていた。従来のビジネスモデルを見直すタイミングを迎えていた」。

 一理ある。EC基幹システム「楽らく通販システム」はインナーウェアなどアパレル商材に留まらず、様々な商品に対応できる仕様になっている。受注管理や在庫管理など通販に不可欠な基幹業務が可能。社内には「システム営業」部門が新設された。

 だが果たして、ビジネスモデルの転換は一朝一夕になしうるのか。同社自体が、こう言及している。「ゆくゆくは売り上げの柱となることを目標としている。が、システムの提供に時間を要しているという現実もあり未だ成長段階」。

 20年8月には新本社兼倉庫の稼働が予定されている。現本社は賃貸ビルとして活用する予定。またインナーウェア事業についても「プライベート商品の比率を2割超に引き上げる」方向も打ち出されている。

 白鳩は、変身できるのだろうか。ウオッチしておきたい。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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