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「未使用車」が生まれる背景
●「未使用車」とは?
昔は「新古車」と呼ばれていた「未使用車」は、実質本位で「新車」に拘らないユーザーにとっては、割安に車を購入できる手段の一つだ。
登録済み=ナンバー取得済み(軽の場合は届出済み)の車は、たとえ走行距離が1桁か、せいぜい2桁で、最新型の車でも、全て「中古車」になる。一般的に「中古車」といえば、文字通り「中古」になった車で、代替えの際に下取りに出された車や、買取り等で手放された車指し、普通「新車」という時は、「中古車」では無く、「まっさらのクルマ」のこと。
そこで、「新車」では無いが新車同様の「中古車」だからと「新古車」といっていたが、不当表示であるとの理由で、この表現が使えなくなったので、「未使用車」と呼ばれている。
●「登録」で身分が変わる
「新車」を登録すれば、その時点で「中古車」となる。人間でいえば、「婚姻届け」を提出して「既婚者」になる訳だ。
敢えて例えれば、どんなに遊びまくっても、同棲経験があっても、婚姻届けを出さ無ければ×無しの「未婚者」だ。逆に、挙式まで清い関係で、婚姻届けを提出した後、結ばれる前に相手が亡くなっても、戸籍上は「既婚者」となる。
通常、メーカー出荷された車には「完成検査証」がついていて、その車を注文したお客の車庫証明や登録関係書類と一緒に陸運事務所に持ち込んでナンバーを受ける。
完成検査切れや、他府県登録以外の場合は、現車を車検場に持ち込む必要は無いため、車載車で運ばれてディーラーに届いた場合は、殆ど走行していない。そんな車でも、「登録」完了した時点で「中古車」となる。
●「未使用車」は何故生まれる?
新車で、「店頭価格が200万円、一般的な値引き枠が10万円程度」で取引されている車種があると仮定しよう。
販売会社(ディーラー)には、「目標販売台数(ノルマ)」がある。メーカーは、ディーラーに対してノルマを課し、達成すれば「特別奨励金」を支給する。
計算がし易い様に、簡単な数値に置き換えて説明しよう。
例えばメーカーが、月間ノルマ100台のディーラーA社に対して、「目標達成したら、別途台当たり1万円特別奨励金を支給する」と伝えたとする。A社はノルマ100台を達成すれば、特別奨励金の100万円が手に入るが、99台でストップすれば、一銭も支給されない。
A社の販売責任者としては、どう検討を加えても95台しか見込めなかったら、どんな対応するだろうか?95台でストップなら0円、100台達成なら100万円!
多分、ノルマ達成までの5台を、誰かの名義を使って登録し、100万円手に入ることを考えるだろう。
手許に一銭も残さなくても、台当たり20万円(実際には登録諸費用の損金等が発生するので20万円は切ることになるが)を、この5台の処分に使えば、「ノルマ達成!」となる。
そんな計算の下に、お客がついていない5台が登録され、これ等の処分のために、特別奨励金が獲得できなかったと割り切って、通常の新車販売条件より割安な「未使用車」として中古車展示場の目玉になったりする訳だ。
●ディーラーのメンツも関係する
全国販売店の営業責任者会議とかの場面で、目標を達成したディーラーと未達のディーラーでは、席の配置や扱いが違ったりする。そうで無くても未達だと「肩身が狭い」ので、営業責任者のメンツを保つためにも、多少無理をする結果、「未使用車」が生まれる素地となっているのは否めない。(記事:沢ハジメ・記事一覧を見る)
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