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「トヨタは正常」であるのか? (1) 前代未聞の秋の労使交渉
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「トヨタのカイゼン活動」の社員参加率が、この春の60%から現在は90%になったそうだ。これを聞いて、トヨタの社員半数近くが「カイゼン」活動に参加していなかったことの方が衝撃だった。
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「カイゼン活動」は、製造業に限らず、社会の全ての組織で進めなければならない基本だ。これが止まっては社会組織が維持できなくなる。これは、革命の基本要件だからだ。つまり、「内戦」が起こる前提条件が、「カイゼン」が滞る、あるいは「カイゼン活動」では通用しなくなった時であり、社会制度の基本からやり直さねばならなくなるからだ。
例えば、香港の民主化運動は、中国本土の「侵略」とも等しい「人権抑圧」政策に反発しているものだ。独裁政権がこれほど力を持つ時代を危惧するべきだが、独裁政権でなくても差別や搾取が続いていることは、現在までの人類の知恵の限界なのだろう。
しかし、「資本主義」以上の社会システムを編み出せない現代では、「新資本主義」などといった「資本独裁政権」とでも言える状態を追い求めていくしか社会制度を維持できないのだ。しかし、「1%の人間が世界の富の半数以上を持っている」社会が「民主的」などと言えるはずはない。
この問題点は、ピケティ氏(全世界で150万部売れたベストセラー『21世紀の資本』の著者である経済学者)に指摘されるまでもなく、現代の社会制度の崩壊をもたらすかもしれない。
現在、この問題点が火を噴いている現場は「金融市場」だが、多くの学者たちは「危機感」を抱いてはいない。それは、「格差」が当然であり、「人間の価値は所有する資産で決まる」と本気で信じているからだ。そのため、「富を追い求めて」戦争も辞さないのだ。
少し話がそれてしまったが、つまり、トヨタの内部で「カイゼン」の活動が鈍ってきたら、先行きは不安視しなければならない。「トヨタ全社が老化してきた」と言えるからだ。なのに、社員の危機感はかなり希薄であることが知れる。それは現場だけでなく、むしろ経営陣、管理職などに蔓延し始めているのであろう。しかしそれも「人間性の基本」と言える現象だ。
現代日本の官僚組織、役所組織においても、明確な指導者が見えていないためか、「仕事はせず、改善はせず、利権を得る」ことが明確な目標になってしまっている。しかし、それは国民の多くの意識であり、その反映であるのだ。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)
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