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ジャガーXJ・ダブルシックスV12気筒エンジンの夢、遥か (2) XJ半世紀を経てEVに
(画像: ジャガー・ランドローバーの発表資料より)[写真拡大]
■ジャガーXJ・ダブルシックス
かつて、ジャガーXJと言えば「ダブルシックス」で、6気筒のV型2列、つまり12気筒エンジンを搭載している最高級グレードが有名だった。ロールスロイスとベントレーを別格とすれば、インテリアはイギリス伝統を思わせる美しい木目調で「家具のようだ」といわれ、世界の自動車内装の一時代を築いている。
【前回は】ジャガーXJ・ダブルシックスV12気筒エンジンの夢、遥か (1) I-PACEが引き金
そのため高級グレードの車と言えば、「木目調」のインテリアをイメージするほど、世界のあらゆる高級車で採用されてきた。現在のクルマで広がりつつある皮を縫製したような「ステッチ調」の仕上げと同じだ。現在では、「ロールス、ベントレー」もカーボンなどの新素材を含めて使いこなしてきている。
私も「ダブルシックス」にあこがれた一人だが、「故障が多い」との評判を聞き、「ジャガーXJ6バンデンプラス」という仕様をアメリカからわざわざ取り寄せた。エンジンは6気筒だが、インテリアだけがダブルシックスと同等であったため、イギリスの家具調デザインを堪能したものだった。
確かにそれは美しく、木目調を印刷した薄いフィルムをプラスティックの基盤に張り付けたまがい物と比べると、触って肌触りを確かめたくなる感覚が自然に湧いてきた。触ってみると、金色の縁取りの細いラインが、確かに手書きされたものであることの感触が伝わってくる。
しかし、12気筒でない6気筒エンジンでもあまり快調ではなく、エンジン警告灯が付きっぱなしだったが、それでも7年間乗り続けた。「ジャガーと言えば故障が多いもの」と納得しており、品質については期待していないことが幸いしている。
■最高級車のシンボルV12気筒エンジン
現在も、V12気筒・W12気筒エンジンを基本とするロールスロースとベントレーを除いて話を進めれば、ジャガーXJダブルシックス以後、BMW12気筒エンジン、メルセデスベンツ12気筒エンジンなどが発売され、それぞれのメーカーの旗艦車種との位置づけとなってきた。そして、12気筒エンジンの音は「まるでモーターのようだ」と形容されてきた。
特にBMWの12気筒エンジンは、電子制御を採用したことが裏目に出て失敗に終わったのだが、エンジンが回っている時は低速(それでも100km/hは超えていたが)ではタコメーターでエンジンの回転を確かめないといけないほど静かだった。BMWの本領「シルキーフィーリング」とはこのことだ。
出来ることならV12気筒エンジンの限界を突き詰めることを望みたいが、すでにV8気筒エンジン・直列6気筒も消えゆくのか?と思わせる自動車市場のダウンサイジングターボ、マイルドハイブリッドの情勢だ。
それが今後、ジャガーXJのように急速にEVになるわけだ。最高級車もモーター駆動になり、「シルキーフィーリング」のエンジンも本当のモーターに置き換わる時を楽しみにしている。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)
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