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日産とルノーに割って入るFCA、ルノーが仕掛けた日産抱きつき作戦か? (3-1)
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欧米の大手自動車メーカーであるFCAと、フランスのルノーが包括的な提携に進むための協議を始めていることが明らかにされた。
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FCAの正式名称は、フィアット・クライスラー・オートモービルズと言い、自動車の製造と販売会社を傘下に従えた持株会社だ。14年にフィアットとクライスラーが合併して誕生した。登記上はオランダのアムステルダムに本社が置かれ、税務上の本社はブレグジット(EUからの離脱)で大揺れのイギリス・ロンドンにある。
子会社として、 フィアット、 ダッジ、 アルファロメオ、 マセラティ、 ランチア、 アバルトなど、聞く人が聞けば心穏やかではいられない著名なメーカー名が並ぶが、現在の激しい変革の中では規模の拡大を生き残りの"よすが"(頼りにすること)とせざるを得ないメーカーだ。
27日の報道では、FCAがルノーに経営統合を正式に申し入れたことになっているが、水面下での交渉は相当以前から行われていた模様で、関係者の反応も早く前向きだ。
FCAのジョン・エルカン会長は、ルノーとの経営統合の協議を始めたばかりの段階なのに、ルノーとの統合協議が遅々として進まない日産と三菱自動車との今後の連携にまで言及し、「企業連合を構成したい」との意欲を語った。
ルノーも即日、FCAの提案を前向きに検討する声明を発表し、速やかな反応で見事な連係プレーを見せてくれた。
フランスのルメール経済・財務相は28日、FCAとルノーの統合は「ルノーと日産自動車連合の枠組みの中で実施されなければいけない」と述べ、あくまでも現在の日仏連合の枠組みを維持しつつ、FCAがその輪に加わるべきだとの意向を示して日産に釘を刺した。
統合への口火を切ったのはFCAとの見方があるが、日産とルノーのアライアンスの将来に向けた協議が進展していないことを横目に見ながら、ルノーに統合の提案をすることは如何にも不自然だ。その後のストーリーに対するルノーとフランス政府の関わり方は、どちらが主体的に行動しているかを暗示するものだろう。
プランも具体的だ。両社の既存株主が50%ずつ対等に出資した親会社をオランダに新設し、フランス、イタリア、アメリカの証券市場に上場する。取締役は11名とし、FCAとルノーから4人ずつ、日産から1人出す(あとの2人は不明だ)。両社ともに現在の工場は閉鎖しない。ルノーとFCAが経営統合を協議するという初期の段階なのに、新会社の取締役に日産から1人の起用を見込んでいることが注目される。日産を巻き込むという強い意志が感じられる。
FCAの会長のコメントや、ルノーの迅速な対応、フランス政府の意向と公表されたプランを見てみると、統合提案の裏には日産と三菱自動車への下心が見え見えである。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る)
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