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全固体電池、実用化は2030年以降? 航続距離実質600km、80%急速充電を数分で完了
全世界で純EV車の開発が進んでいる。そのバッテリーは、リチウムイオン電池がほとんどだ。しかし、1回の充電で航続距離に不安があり、充電も急速充電で80%にするには30分~40分かかり、EV車の普及が進めば、実用にならない時間となる。
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トヨタ自動車と東京工業大学などが共同開発している全個体電池の試作は、現在の液状リチウム電池の3倍の出力に成功している。充電作業も数分でこなせるので、ガソリン車に近い実用性が望める。搭載しなければならない電池の重量も大幅に減らすことが出来て、ガソリンエンジン車並みの実用性に一歩近づくことが出来る。軽量化と低価格化にも寄与し、1000回充電を繰り返しても劣化がみられないことで、中古車市場にもメリットとなり、EVの実用化に大きく貢献するものとみられる。
また、この個体電池は500度の高温で押し固めて造られ、100度での使用が可能など、現在の60~70度での使用条件を上回ることが出来る。さらに、100度で1000回程度の使用でも劣化は見られない特性があり、利用範囲を広げる期待がある。
積水化学工業では、既存の液体リチウムイオン電池の液体電解質をゲル状電解質(準全固体電池)にすることに成功した。既存の液体リチウムイオン電池の改善も進んでいるようだ。
トヨタが進める全個体電池については、電極との接続の被膜も開発され、現在は量産工程の開発に取り組んでいるようだ。また、日立造船が、電解質と電極を原料粉体のまま、低コストで成型する技術開発に成功したようだ。トヨタと東京工業大学のチームでは、500度の熱で押し固める成型のようであり、日立造船の製造技術との連携はどのようになっているのであろうか。
このように、全個体電池の開発製造は最終段階に入ったものと見られるが、量産工程が確定するといよいよ設備投資にかかることとなる。パナソニックなどは、既存の液体リチウム電池生産設備に4000憶円余りを投資しているために、全個体電池の量産に移って実用化できる時期は、当初計画よりもずれ込むとみられる。2020年前半と見られていたが、本格的実用化は2030年あたりであろう。
さらに、バッテリーの性能が実用域に達するのと同時に、充電設備などのインフラ整備が必要だ。しかしこれは、ガソリンスタンドや、水素スタンドより、はるかに投資資金が低く、安全設備などの管理の必要性もはるかに低い。
このためEVにシフトしてからガソリンエンジンに揺り戻すことは、きわめて困難となる。また、発電の動向がカギを握ると思われるが、発電、特に原発との関係を慎重に検討が必要だ。何はともあれ電池の開発が、自動車業界そして、世界経済の覇権を決めることが濃厚となってきた。私は、個別発電ができるPHEVが社会のインフラとして、特に日本国内では望ましいと感じている。PHEV開発に関しては、災害時の利用方法をEVと同様に考えて、社会の示していくことが肝要だと思う。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)
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