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苦心の地銀が地方企業のメインバンクでは強い訳
日銀は「金利の上限緩和策」を執った。だが依然、金融緩和策は続く。地方銀行には「ビジネス難」が続き、あの手この手でビジネスの多様化を進めようとしている。
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例えば子会社方式による証券ビジネスへの参入。すでに今春時点で20行以上の証券子会社が傘下に収まっている。また札幌市地盤の北洋銀行では10月に地場の証券会社を完全子会社化する。岐阜市の十六銀行では東海東京フィナンシャル・ホールディングス(既に包括的業務提携済み)と2019年度の証券子会社の設立・開業を目指す方向で進んでいる。厳しい中での(地方)銀行の「知恵絞り」を感じる。
銀行である限りは取り扱える金融商品(保険商品や投資信託等)が、法で限定されている。が、グループの証券会社となると縛りは解かれるからだ。
鹿児島銀行と肥後銀行を傘下に持つFG(九州フィナンシャルグループ)が4月に開業した証券子会社では、その目的として「地元企業の新規上場支援」を掲げた。狙いは上場後の資金調達を担う点にある。
仙台の七十七銀行では、経営計画やM&Aのコンサルティング機能を持つ子会社を設立した。戦後立ち上がったオーナー企業が、まさに「承継問題」と対峙しなくてはならないタイミングを迎えている。その当たりを勘案した施策といえる。
転職支援のビズリーチと組み人材紹介で顧客企業との深まりを強めていこうという地銀もある。ビズリーチの武器は「後継者」や「幹部社員」候補など地銀向けに128万人のデータベースを有している。横浜銀行や常陽銀行(水戸市)、大垣共立銀行(岐阜県)が本体あるいは子会社を通じ参入する申請を厚労省に提出している。大垣共立は9月1日に認可を得て、人材紹介サービスを始めると発表した。
こうした最中、東京商工リサーチが全国150万社を対象にした調査結果を発表した。質問内容は「貴社のメインバンクはどこですか」。結果としてこんな内容を明らかにしている。
「大都市部ではメガバンクが圧倒的に強い。が、地方では地銀の強さが際立った」とし、「都道府県別のシェアが60%以上で他行を圧倒しているのは、山陰合同銀行(島根県の県内シェア65%)、和歌山県の紀陽銀行(同63%)、滋賀県の滋賀銀行(61・6%)、奈良県の南都銀行(60・2%)」と具体例を示した。
地銀の統合・再編は続こう。だが野村総研・金融コンサルティング部の鳩宿潤二部長は「どれだけ地方企業の成長に貢献できるかが問われている」と、地銀の生き残り・勝ち残り策を暗に指摘している。(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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