オウケイウェイヴが成長階段を昇った背景と業容拡大の現状

2018年7月31日 11:38

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 オウケイウェイヴの顔は、利用者同士が質問・回答をする「OKWAVE」の運営。創業者社長の兼元謙任氏がPC黎明期の1900年代終盤に、ある質問をインターネットの掲示板に発したことに端を発する。満足いくような答えが得られなかった。「ならば」と前記の枠組みのQ&Aサイトの立ち上げの意を固め99年に試用公開、2000年2月に正式公開した。現在では大手IT企業に同様のサービスが見受けられるが、同社がまさに先駆け。

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 疑問や悩みが「質問」として投稿され広範囲からの「回答」が寄せられるが、その内容はまさに人間が抱える多種多様なもの。人間関係の悩み相談もあれば「PCやデジタル機器の選び方・使い方」「法律絡み」「医療・健康」さらには「不動産売買」関連などまで、カテゴリ総数はおよそ1000近い。OKWAVEの登録・利用は無料。

 では同社の収益構造は!?

 3事業(ソーシャルメディア/エンタープライズソリューション/多言語CRM事業)で構成されているが、例えばエンタープライズソリューション事業の主力商品がFAQ(想定問答集)の作成・運用を導くシステム「OKBIZ.」。同社の顔であるQ&Aサイトの開発・運営のノウハウが基になっている。Q&Aサイトの公開直後に「その仕組みをFAQシステムとして使いたい」という企業のオファで事業化された。OKBIZ.を導入した企業はFAQを公開することで「顧客が問い合わせをする前に自己解決」できる可能性が高まり、結果とし双方の電話やメールの数が減るという効率化を享受しうる。FAQは社内のみに公開もできサポート業務担当者間の可視化につながる。

 多言語CRM事業(子会社で展開)は5言語に対応する多言語コールセンター業務。鉄道会社や病院、自治体などと契約し電話通訳や翻訳サービスを提供している。インバウンダー増もフォローの風。

 OKWAVEの事業を詳細に記していたら枚挙にいとまがない。同社は事業・業容拡大に意欲的である。

 例えばOKWAVEに蓄積したQ&Aを学習したAIエージェントを活かした最適な回答を提示する『あい』を公開している。最近注力しているのは「ブロックチェーン」の技術育成。金融取引などの記録をCPのネットワーク上で管理する技術。ネット上の複数のCPで取引記録を互いに共有し正しい記録を鎖のようにつないで蓄積する「分散型台帳」。領域自体の拡大にも余念がない。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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