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取り組みは様々 企業に本当に求められる「働き方改革」は?
働き方改革については、すでに自社内で独自の取り組みを始めている企業も多い[写真拡大]
6月29日に「働き方改革」関連法が参院本会議で可決、成立したことで、来年4月以降、企業は労働時間の見直しや非正社員の待遇改善など、対応を余儀なくされることとなった。
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なかでも、年収が高い一部の専門職を労働時間の規制から除外する「高度プロフェッショナル制度」いわゆる高プロが注目され、争点となっている。高プロの対応職種など、具体的なことについては今秋以降に厚生労働省が発表する予定だが、同制度が働き手の自由度や生産性を高めると期待される一方、長時間労働や健康面への影響なども懸念されている。
働き方改革については、すでに自社内で独自の取り組みを始めている企業も多い。
味の素株式会社では、一日の所定労働時間をそれまでより20分も短縮したり、管理職を含む社員全体の基本給を1万円引き上げて残業時間の短縮につなげたりするなど、思い切った取り組みを行ってきた。その結果、会議時間が以前の約半分になるなど、効率的な変化がみられるという。今年からはさらに15分短縮し、7時間の労働時間を進めている。
電気機器大手の日本電産株式会社では、自社内に「働き方改革委員会」を設置。さらに昨年2月には、その中にマネジメント力向上分科会や人材育成分科会など7種類の分科会を創設、働き方を根本から見直す体制を敷いている。
職場環境の改善はもちろん重要だが、社員の健康管理を促し、社内全体で健康意識の改善を推進することで、仕事へのパフォーマンス向上を図り、働き方改革に繋げようとする動きも増えてきた。
女性社員が6割を占めるロート製薬〈4527〉では、「体質改善28Day’sチャレンジ」と題し、働く女性の不定愁訴に着目した改善プログラム、いわばロート流の「鉄活」を実施している。同社ではこれまでにも、朝食の欠食率や女性の低栄養問題改善のために「朝活」をすすめてきたが、今回の「鉄活」では、自社の女性社員を中心に参加者を募り、同社の製品である一口タイプの鉄分ゼリー「JELLY&ME(ジェリー アンド ミー)」を毎日1個摂取し、手帳に記録して習慣を可視化する取り組みを28日間にわたって実施した。その結果、参加者の50%が体調改善を実感したという。
「原因は分からないが、何となく調子が悪い」という、とくに女性に多い不定愁訴といわれる症状の原因の一つは鉄分不足にあることが指摘されている。女性の社会進出が増えている今、ロートのこの取り組みの結果は多くの企業にとっても参考になるのではないだろうか。
仕組みも大事だが、社員の健康が損なわれては意味がない。効率だけを求めるのではなく、本当の意味での労働者のためになる働き方改革が行われていくことに期待したい。(編集担当:藤原伊織)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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