関連記事
バイオ燃料にかかる期待と不安
●2030年代目標に全新車バイオ燃料対応へ
経済産業省は11日、バイオ燃料を混ぜたガソリンの普及に向けた目標を明らかにした。
【こちらも】「またトラ」で気になる原油価格
全ての新車を対象に、2030年代の早期にバイオ燃料対応車に切り替えるよう、メーカーに求める。ガソリンへのバイオ燃料混合比率を20%に高めた燃料を想定しており、安全面などの新たな基準作りに着手する。
バイオ燃料は従来のガソリンより二酸化炭素(CO2)の排出量を削減できるとされており、EVなどと共にCO2削減に期待がかかる。
約85%の化石燃料を海外からの輸入に頼る日本にとって、バイオ燃料がゲームチェンジャーになることも期待される。
●バイオ燃料とは?
動物や植物などの生物資源(バイオマス)を原料として作られる燃料で、化石燃料の代替エネルギーとして期待される。
燃焼すると化石燃料と同じようにCO2は排出するが、原料となる植物がCO2を吸収するため、CO2の排出量をプラスマイナスゼロにできると考えられている。これがカーボンニュートラルの概念でもある。
代表的なものには、サトウキビなどの作物を発酵、蒸留させて作り、ガソリンに混ぜる「バイオエタノール」や、菜種やトウモロコシの油から製造される「バイオディーゼル」などがある。
すでに国内でも実験は始まっている。2024年では、オリックスが保有船を利用し、バイオ燃料での試験航行をしており、INPEXや埼玉工業大学がバイオ燃料を使った自動運転バスを公道で実証実験した。
ミドリムシなどを使った健康食品などを販売するユーグレナは、ミドリムシなどを混ぜたバイオディーゼル燃料「サステオ」をすでに供給開始している。
●デメリットも?
バイオ燃料の恒久化実現にはまだまだハードルが高い。
バイオ燃料の製造技術はまだまだ発展途上であり、素材の収集・運搬の手間もかかり、従来のガソリンに比べると最大3倍以上のコストが必要となる。
サトウキビやトウモロコシなどの食物を燃料に使うことも多く、自然災害などの影響を受けやすく、食物値段の高騰や食糧不足を招く恐れがある。
生産拡大による森林伐採や、化学肥料などによる水質汚染など、新たな環境問題を引き起こすことも懸念され、本末転倒になりかねない。
自然エネルギーなどと同様にまだまだ課題は多い。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
スポンサードリンク