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実物大住宅使い耐震実験を実施、アキュラホーム
3日間にわたって合計10回の震度7規模の大地震を与えた耐震実証実験を行なったアキュラホームの実物大実験棟。写真でも揺れの大きさが分かる[写真拡大]
木造軸組工法の注文住宅を建設するハウスメーカー、アキュラホームが、同社の標準的な仕様による2階建て3LDK床面積105.98平方メートルの実物大住宅の耐震実験を行ない、その結果を公開した。
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実験は、2018年3月26日~3月28日の3日間、東京都清瀬市の大林組技術研究所の3次元振動台において実施した。本実験は想定外の地震が発生しても住民の暮らしを守り、住み続けられる建物であることを実証する目的で行なったという。
そのため、日本国内や世界で実際に観測された震度7クラスのさまざまな地震波、今後起こりうると予測される地震波など、計10波を連続で加震するという日本初の過酷ともいえる実験だった。この実験は、アキュラホームグループ創業40周年事業の一環でもある。
同社では、2004年10月23日の最大震度7を観測した新潟県中越地震を受けて、翌年に同社の実物大耐震実験を行なっていた。その際、実物大住居に与えた地震波は震度7クラスが3波で、構造体について損傷は見られなかった。が、その後、史上最大規模の東日本大震災や2度におよぶ熊本地震など大規模な地震が発生し、甚大な被害が発生した。
そのような状況を受けて、今回の実験では、東京大学大学院木質材料学研究室教授・稲山正弘氏、京都大学生存圏研究所教授・五十田博氏の監修のもと、一般的な間取り仕様の住宅で耐震実験を実施することにこだわって実施された。
そのため、通常アキュラホームの標準仕様住宅では建築基準法の1.8倍の耐力壁を入れるのだが、通常よりも自由設計にこだわり、耐力壁の量を1.6倍程度と、あえて耐震性能を通常よりも落として実験した。
建物室内には家具、家電などの生活必需品と同等の生活荷重を再現し、実際の生活空間に近い環境を再現した。
さらに屋根全面には13kwの太陽光パネルを搭載し、通常より屋根重量が増すことで揺れに対して不利な設計も加えたうえで実施した。
また、地震波は、世界でこれまでに観測した震度7を観測した地震に加えて、将来起きるであろうと想定される国内の首都直下型地震や南海トラフ地震をも推定して、10回の地震波を加震した。
加震した地震波は以下のとおり。熊本地震前震(益城町)、熊本地震本震(益城町)、新潟県中越地震(川口町)、兵庫県南部地震(JR鷹取)、想定首都直下地震、想定南海トラフ地震、チリ地震、スマトラ沖地震、東北地方太平洋沖地震(築館)、兵庫県南部地震(神戸海洋気象台)。
この実験の検証で、10回の大規模地震に被災したにもかかわらず、構造体については実験前の状態と比較して、接合部の緩み、金物の変形、材の破損、内装にも損傷などがまったく見られず、地震後も住み続けられる建物であり、自由度の高い同社の注文住宅において、大きな安心を提供できることが実証されたとしている。(編集担当:吉田恒)
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