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明暗分かれた業種別採用計画 変わらない中小企業の採用難
22日の日経新聞は、19年の各業界・企業の採用計画調査の最終集計結果を報じている。概要は主要企業の大卒採用計画の合計が、18年実績比で8.5%増となった中で、銀行が14.4%の減少、保険が9.7%の減少等、金融関係が新卒採用の大幅削減に向かった。逆に、電機や機械業界等の製造業が好調で10.2%増となった。合計では9年連続のプラスとなり、近年取り沙汰されている通りの、業種による明暗をくっきりと反映したものとなった。
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長年就職志望先として上位の人気を誇っていた銀行は、超低金利による低収益環境に改善の兆しが見込めないことから、昨秋メガバンクが大幅なリストラ計画を相次いで発表した。例えば、みずほフィナンシャルグループは、リストラと採用の減少を継続し、26年度を目途に全従業員の4分の1を削減する計画を示している。
これに対して電機業界は、特に理工系の採用に意欲的で、三菱電機とパナソニックは6~8%の採用増加を目指している。昨年不本意ながら、後ろ向きの話題を提供した東芝ですら、2.6倍に当たる520人の採用を計画している。現在、社会の注目を集めている自動運転車、電気自動車、「IoT」の開発も、理工系の優秀な人材を抜きにしては考えられない。
ネット通販の拡大により深刻な人手不足が叫ばれていた陸運は41.2%の増加、海運・倉庫・運輸関連も総じて20%台の増加を示している。近年品揃えを急速に充実させて、コンビニ・スーパーの領域へ切り込んでいるドラッグストアも、旺盛な動きを見せている。
業種については時代の移り変わりによる産業構造の変化と言えるが、企業規模の大小による採用難易度は、従来の傾向がさらに拡大する。大卒の求人倍率は平均で1.78倍である。これを従業員1,000人超の企業に絞ると1倍には届かないが、従業員300人未満の企業では6.45倍と跳ね上がる。大卒者の立場で見ると、大企業は相変わらず狭き門で、中小企業の立場で見ると、求人難はさらに深刻化していると言える。
人手不足の時代を背景にして中途採用も新卒の採用と変わらない活況を見せるている。主要企業による18年度の中途採用者計画数は、即戦力としての期待が大きく、前年度と比較して7%の増加となった。新卒者の採用と共通する部分も見られるが、製造業の旺盛な人材需要に対応するため、技術開発や生産ラインを担う技術系の人材派遣も採用の増加を進めている。
いつの時代にも共通していることは、「就職はゴールではない。社会人としてのスタートだ」ということだ。悔いのないスタートを切るために、慎重かつ積極的な行動が期待される。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る)
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