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国交省、新車検査の不正防止に強化策を発表
自動車メーカーの完成検査不正を受けて、国土交通省では再発防止策として規制を強化する方針を固めた。不正があった場合には出荷停止の措置をとる等多岐にわたっている。[写真拡大]
国土交通省は、メーカーが無資格の検査員に新車の完成検査をさせていたという問題に対して、再発防止のための対策を発表した。この再発防止策では、メーカーによる新車出荷前の完成検査において不正があったと疑わしい場合には新車の出荷を停止する等、規制をこれまで以上に強化するという方針だ。
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現在の新車の完成検査では、国の定める審査に合格したあと「型式指定」を取得すれば国の車検場で改めて検査を行う必要はない。そのため、国土交通省としても車を製造するメーカーに検査を任せていたという側面もあることから、無資格の検査員が完成検査を行うといった不正が起こる要因となっていた。メーカー側も完成検査について政府から委託された検査工程であるという自覚は薄く、安全性に問題がなければそれで良いのではないかという認識に至っており、それが結果的に無資格の検査員が検査を行うという不正につながったといえるだろう。
今回の国土交通省の発表した再発防止策では、メーカーによる完成検査の不正が疑われる場合には「型式指定」を無効にするというもの。型式指定が取得できなければ、そのメーカーの製造する車は販売することができなくなるため、事実上の出荷停止となる。さらに、完成検査の方法そのものや実際に検査を行う検査員の要件なども届け出を強化し、適切な運用ができない場合には罰則規定を適用する。この他、メーカーへの抜き打ち監査も随時行っていく方針だ。これまでもメーカーへの監査は行われていたが、事前通告をしたうえでの監査だったことから、不正が行われていたメーカーでは監査日に合わせて隠蔽工作を行っていた。事前通告をしないことで、隠蔽工作そのものができないようにすることが目的だ。
このように、国土交通省の定める完成検査不正の再発防止策はこれまでにない規制強化となっており、同省では夏までに必要な省令改正の調整に入った。とはいえ、こうした国土交通省の完成検査規定に対しては懐疑的なメーカーも少なくない。国土交通省に言われるまでもなく、各自動車メーカーは生産工程ごとに独自基準の品質管理を徹底しており、安全性に関してはこれらの検査で一定の品質が担保されているとの見方だ。そもそも型式指定を取得するための完成検査をするまでもなく、そこに至るまでに安全性においては問題ないとの判断ができているという。もっとも、だからといって国の定める検査に対して不正を行っても良いということにはならないことから、メーカーは国土交通省の決定事項に従うことになるだろう。(編集担当:久保田雄城)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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