中国当局、タブー破棄か 気功を「国民的スポーツに」

2017年7月21日 23:30

印刷

記事提供元:フィスコ


*23:30JST 中国当局、タブー破棄か 気功を「国民的スポーツに」
 中国最大のスポーツの祭典「全国運動会」(日本の国体に相当)に、「健身気功」が初めて競技種目に追加され、気功がふたたび国民的な習慣として定着する風向きがある。気功については、1999年に江沢民政権が「法輪功」を弾圧して以降、禁忌の話題として中国社会のなかで避けられてきた。この伝統的な鍛錬法に再びスポットがあたったのは、国策が転換する兆候ではないかの見方がある。


 10日付き中国メディア・新浪網などによると、第13回全国運動会の一般部門コンテストは7月9日、天津濱海新区の大港スポーツセンターで開催され、健身気功を初めて新たな競技種目として追加した。


 中国国家体育総局の健身気功管理センターのトップ・常健平主任は新浪網メディアの取材に対し、気功の「神秘性」については否定するものの、全国運動会の競技に追加されたことは「画期的意義を持つ」と強調し、「2020年までに愛好者数を1000万人に増やしたい」と述べた。 


 米政府系「ラジオフリーアジア(RFA)」は13日、気功が新種目として追加された中国当局の動きの背景には、法輪功への弾圧政策の終結を裏付けるものとの分析を示した。

■中国政府系シンクタンクでも気功修煉の講座


 今回、全国運動会の競技種目として追加される前から、これまでのタブーを破って、気功に注目が集まった出来事がある。今年6月10日、中国政府系シンクタンクの中国科学院の朱清時・院士が北京医薬大学で、気功修煉に関する講座を開いたことだ。


 朱氏は『身体を通じて真気と気脈を観察する』と題した講座のなかで「漢方医学の経絡を含む真気が仏学と同じ、中国伝統文化の真髄である。疑似科学ではない」と論じた。


 中国官制メディアも、中国科学院のこの講座について肯定的に報道している。中国青年網は「修煉は太古の『黄帝内経』から三教(儒教・仏教・道教)まで、五千年の中華文明を貫いている」と報じ、「修煉文化」について言及した。

■習政権 腐敗と汚職を一掃 伝統文化の尊重目指す


 習近平政権は発足から、積極的に反腐敗を推進させ、汚職蔓延の「元凶」とされる江沢民派の影響力を払拭し続けている。同時に習政権は「伝統文化の尊重」を政策に取り組んできた。実際に、政府系シンクタンクが、以前は忌避されてきた「真気」や「修煉」といったテーマを取り上げて1カ月後、気功を国民的なスポーツ大会の一競技に取り入れた。


 中国民主活動家・元山東大学教授の劉因全氏は、気功の良さを広めることは、弾圧政策により国営メディアから汚名を着せられた「法輪功」の名誉挽回のための事前準備と見ている。「最高指導部では民主化の道を歩む『開明派』が優勢となり、法輪功弾圧を肯定した江沢民派の勢力は失われつつある」と述べた。


 1980年代から90年代にかけて、中国全土で気功ブームが巻き起こった。そのなかでも、1992年に伝えだされた法輪功は、身体の健康と道徳の向上に顕著な効果がみられたとして、中国政府も推奨していた。政府は法輪功に「学際科学進歩賞」など6つの賞を授与している。体育当局の統計では、弾圧前の1999年まで1億もの人々が愛好していたという。

(翻訳編集・王君宜)

【ニュース提供・大紀元】《FA》

関連記事