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15年の車載モータ世界市場は約28億5,900万個―25年に44億個まで拡大
2020年に向け各国で燃費規制の厳格化が進んでいる。従来厳しい規制が行われてこなかった米国でも 2025年に向けた燃費目標が掲げられ、中国でも先進国に迫る目標が定められている。これに対応すべく、次世代自動車(ハイブリッド車、電気自動車)の普及や、燃費改善技術の積極的な採用が世界的に進められており、これらの動向を背景に車載モータの新たな需要が広がっている。
矢野経済研究所では、車載モータの世界市場の調査を実施した。調査期間は2016年5月~8月、調査対象は自動車システムメーカ、モータメーカ等。調査方法は同社専門研究員による直接面談、電話・e-mail によるヒアリング、ならびに文献調査を併用した。
それによると、2015年の車載モータ世界市場規模は約28億5,900万個であり、2020 年には約36億3,200万個、2025年には約44億600万個まで大きく伸長すると予測している。
パワートレイン領域では、エンジンバルブを精緻に制御する電動可変バルブや、アイドルストップシステムを採用した場合にはトランスミッション油圧を保持する電動オイルポンプ、アイドルストップ中に暖房目的でエンジン冷却水を循環させる、あるいは水冷ターボ車等で冷却水を循環させる電動ウォーターポンプ等の需要増が見込まれる。特に電動オイルポンプは、今後コースティングやセーリングといった機能を搭載した車両が普及していけば、急なシフトチェンジ等に対応するため AT(AutomaticTransmission)車や CVT(Continuous Variable Transmission)車で不可欠となるほか、DCT(Dual ClutchTransmission)車や AMT(Automated Manual Transmission)車ではアイドルストップ時の対応も含めてクラッチ・ギアアクチュエータに電動オイルポンプが使用される事例も増加しているとしている。
シャシ領域はこれまで電動化があまり進んでこなかったが、エンジン負荷低減に繋がる電動パワーステアリングが急速に普及しているほか、モータによって直接ブレーキキャリパを作動させる電動パーキングブレーキが増加傾向にある。その他にもブレーキ周りでは直噴エンジンや高効率ディーゼルエンジンを採用した場合に負圧の供給をサポートする電動バキュームポンプが普及しているほか、近年では次世代自動車だけではなく、内燃機関車でも倍力装置を電動化する電動ブレーキの搭載事例がみられるとしている。さらには後輪操舵システムについても各社が開発を公表しており、今後の普及が期待されるという。
次世代自動車には、車両の駆動力や電力回生を担う主機モータを始め、エンジン停止時にエアコンを駆動させる電動コンプレッサ、エンジンやインバータ等の冷却に用いられる電動ウォーターポンプ、トランスミッションへの油圧供給や潤滑、モータの油冷等に用いられる電動オイルポンプといった部品にモータが使用される。次世代自動車システムを構成するこれらのモータは、次世代自動車の普及に合わせて市場が急拡大するという。
一方で、次世代自動車の普及は内燃機関車で使用されていたスタータやオルタネータの省略に繋がるほか、電気自動車の場合にはエンジンの搭載が不要になることからパワートレイン領域を中心に多数のモータが不要となる。そのため、ハイブリッド車が多い現状ではパワートレイン領域のモータは増加傾向であるが、今後電気自動車の比率が増加していけば、モータの搭載個数は減少に転じる可能性もあるとしている。(編集担当:慶尾六郎)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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