NTNが後軸専用ドライブシャフトを新開発、従来よりも30%軽くコンパクトに

2015年11月28日 20:48

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記事提供元:エコノミックニュース

NTNは、後軸専用に新設計した軽量なドライブシャフトを過日「東京ビッグサイト」で開かれた「第44回東京モーターショー2015」で出展した。世界のFR方式の高級車に採用される予定

NTNは、後軸専用に新設計した軽量なドライブシャフトを過日「東京ビッグサイト」で開かれた「第44回東京モーターショー2015」で出展した。世界のFR方式の高級車に採用される予定[写真拡大]

 NTNは世界シェア4位のベアリングメーカー。自動車用等速ジョイントは世界シェア2位、アクスルユニットは世界トップシェアを誇る。等速ジョイントや精密機器を主力製品とする。

 クルマには左右輪の回転差を吸収するデファレンシャルギア(差動機構歯車/デフ)を必ず搭載している。このギアのおかげで、クルマは“曲がりながら進む”ことができる。初期の自動車はフロントエンジン&リアドライブ(FR)駆動方式で、リアデフから左右輪にドライブシャフトが直結したリジッドアクスル(固定軸)だった。そのためリアデフさえあれば不都合はなかった。

 ところが自動車が進化し、左右独立懸架の登場で、デフから左右輪にトルクを伝えるドライブシャフトに異なる上下角度が生じ、これに対処する必要性がうまれた。また、FF車(前輪駆動車)の登場で、上下角に加えて旋回角も生じ対処する必要が出てきた。

 そこで登場するのが、等速継手(等速ジョイント/CVJ/コンスタント・ベロシティ・ジョイント)だ。国産車で初めてNTN製のCVJを採用したのは1963年のスズキ「スズライト」だといわれている。

 これまでNTN製の後軸用ドライブシャフトには、FF車の前輪に使うことを前提としたCVJを流用していた。前輪用のCVJは、サスペンションの上下ストロークとハンドル操作による操舵の両方に対応するため作動角が大きい。多くのエンジン横置きFF車は、デフが中央にない。そのため、ドライブシャフト長が左右で異なるため、作動角は異なる。

 一方、主にサスペンションによる上下ストロークにのみ対応するリア用のドライブシャフトは大きな作動角が必要なく、軽量化が期待されていた。今回、NTNが開発したドライブシャフトは、後軸用専用ドライブシャフトだ。後軸は転舵しないので上下の動きだけに対応すればよい。これまでの製品はオーバースペックだったということなのだ。

 新開発した「リア用軽量ドライブシャフト」は、リア用に必要な作動角に限定した専用設計で、タイヤ側の固定式CVJとデフ側のスライド式CVJを新設計としたほか、その間をつなぐ中空シャフトは可能な限り肉厚を薄くした。この結果、従来のドライブシャフトに比べ、1本あたり2.2kg(約30%)の軽量化を達成したという。つまり、左右にシャフトの重量だけで4.4kgの軽量化ということだ。また、主要部品すべてに形状最適化を図り、必要な負荷容量を確保しつつ軽量化・コンパクト化を実現した。

 NTNは、この新設計した後軸専用にドライブシャフトを、過日「東京ビッグサイト」で開かれた「第44回東京モーターショー2015」に出展していた。

 この製品は国産・海外を問わず、後輪駆動の高級車、4輪駆動のクロスオーバー車を中心に展開する予定だという。(編集担当:吉田恒)

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