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東京モーターショーで見えた、世界の自動車メーカーが期待を寄せるセグメント
世界の自動車メーカーが期待するクロスオーバー。1000万円超えるモデルから軽自動車まで、ありとあらゆるクラスに出現する。写真はMAZDAのコンセプト「越 KOERU」で、全長×全幅×全高4600×1900×1500mm、背の低さが際立つ。次世代「CX-7」[写真拡大]
第44回東京モーターショーは11月8日をもって、10日間の一般公開を終えて閉幕した。ここ10年の日本国内の自動車販売動向を映す鏡といわれたモーターショーだが、今回のこのイベントは、どんなトレンドを見せてくれたのだろうか。
消費増税までの日本の自動車市場では、「ハイブリッド車かミニバン、軽自動車しか売れないマーケット」と揶揄されてきた。たしかに、トヨタ・アクアとプリウス、そしてホンダのフィットが登録車ベスト3を競ってきたし、少なくともベスト10にはセダンの姿は無く、コンパクトカーかミニバンばかりが並ぶ。
そして、国内でいちばん売れたクルマは、軽自動車だった。が、しかし、昨年あたりからその軽自動車の勢いにも陰りが出てきた。さて、この先、日本の自動車市場を牽引するのは、どのメーカーのどんなセグメントのクルマだろう?
今回のモーターショーではっきりしたのは、各社とも「クロスオーバー」とか「SUV」と呼ぶカテゴリーに大きな期待を寄せているということだろう。各社、国産メーカーも海外メーカーも、競ってクロスオーバーSUVを発表した。そこには発売される新型車もあれば、まだコンセプトカーの段階でしかないクルマもあったが、実に意欲的な展開を狙ったモデルばかりだ。
各メーカーが展示したクロスオーバーSUVを列記してみよう。まず、国産のトヨタはプリウスベースのハイブリッドSUVである「C-HR」を展示。TNGA第2弾となるこのクルマC-HRは、来年市販されることは、ほぼ間違いない。グループのレクサスは、ショー直前に「新型RX」を発表、世界でもっとも売れているレクサス車で、ここでもハイブリッドを前面に打ち出した。また、トヨタブースには、ランクル70系ショートがさり気なく置かれ、復活を期待する声もあがった。
日産もコンセプトモデルとして「GRIPZ(グリップス)」をメインステージに置いた。筆者が気になったのは、そのデザインよりもパワートレーン、シリーズ型ハイブリッドシステム。エンジンで発電してモーターで走るところだ。
富士重もコンセプトカー「VIZIV Future Concept(ヴィジヴ)」を発表、このクルマは同じ名称として3世代目のコンセプトカーで、かなり現実的なモデルに熟成が進んできた。
三菱は電気にこだわったEV「eX Concept」でコンパクトSUVを提案した。デザインは三菱が言うところの「シューティングブレークとクーペの融合」だ。マツダは大きなクロスオーバー車「越 KOERU」をフランクフルトショーに次いで展示。その姿を見ると低い全高が際立った新しいカタチのSUVとして新鮮に映った。
軽自動車では、すでにスズキ・ハスラー、ダイハツ・キャストを市場に送り出し、人気を博している。
こうしたクロスオーバーSUV開発は、欧州メーカーが大きく先行している。実際に今回、メルセデスは従来のMクラスをモデルチェンジして「GLE」として展示、市場投入するとした。名称はEクラスのSUVであることを示す。GLEは、今回の新型に先立って「GLEクーペ」も発表している。
BMWは大変身した末っ子SUV「X1」を展示、アジア初公開とした。成功したBMWオールラウンダーの既に第2世代である。大型BMW X モデルと共通化されたプロポーションの他、インテリア、装備品。エンジン、トランスミッション、四輪駆動システム「xDrive」を全面的に改良した。スポーティさと効率を向上させて、スペース・ユーティリティと多用途性を内包したプレミアムなキャラクターとなった。
このほか、別項で紹介したジャガー初のクロスオーバー車「F-PACE」、アウディのコンセプトカー「e-tronクワトロ」、フォルクスワーゲンの市販車「ティグアン」、ポルシェはクロスオーバー車「マカン・ターボ」を公開した。ほかにも、フィアット&クライスラーが、車台を共通化したコンパクトSUVとして「フィアット500X」と「ジープ・レネゲード」を発表した。
このようにメーカー各社ともクロスオーバーに大きな期待を寄せている。しかし、今回の東京ショーには、もうひとつ「スポーツカー」というキーワードも隠れている。これについては項を改めるつもりだ。(編集担当:吉田恒)
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