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企業の今を映し出す「環境報告書」の2015年度版が続々と発表
世界規模で環境問題への関心が高まっている昨今、地球環境への配慮は企業や団体の社会的責任であるとともに、企業の姿勢を映し出す鏡ともいえるのではないだろうか。
企業が環境に対して取り組んでいる事柄を詳細に把握するためには、その企業が発行している環境報告書を見れば一目瞭然だ。独立行政法人や国立大学法人ではこの環境報告書の発行が義務付けられているが、自主的に発行する一般企業も年々増えている。
これらを閲覧するには、経済産業省が管理するウェブサイト「環境報告書プラザ」が便利だ。同サイトでは800社以上の企業や団体が発行した環境報告書及びCSR報告書、約6100冊が自由に閲覧できる。また、報告書から抽出した温室効果ガスの排出量を検索し、比較することも可能だ。
例えば、「環境報告書プラザ」に報告書を登録している業種の中で最も多い製造業では、神戸製鋼所<5406>などがある。神戸製鋼グループでは、6月に「神戸製鋼グループ 環境・社会報告書2015」(2014年度の報告)を発行しているが、巻頭特集に発生から20年を迎えた阪神・淡路大震災を取り上げ、震災時に同社グループが各ステークホルダーに対してどのような行動を取ったのか、また、震災の教訓をその後、どのように活かしているかを紹介しているほか、環境報告では注目度が高まっている水素社会の実現に向け、主要機器とエンジニアリング技術、燃料電池車(FCV)向け素材などを紹介している。
また、同じ製造業でも飲食製造ではジャムのトップブランド・アオハタ<2830>の環境報告書も詳細で興味深い。同社では主力商品のアヲハタ55ジャムのカートンに軽量強化中しんを採用することで年間 10.3 トンの省資源を実現し、年間の二酸化炭素排出量を4.7 トン削減するなど、パッケージの省資源の取り組みをすすめたほか、ジャム製造時の冷却に地中冷熱を利用する「地中冷熱利用ハイブリッド型冷却システム」の採用や排水処理で発生するバイオガス(メタンガス)ボイラーを2014年6月に更新するなど、設備投資によって環境負荷の軽減に努めている。
製造業に次いで登録の多い建設業では、パナソニックグループの住宅会社・パナホーム<1924>などがある。同社が7月に発行した「環境報告書2015」によると、新築事業やスマートタウンなどの街づくり事業はもちろん、ストック活用のためのリフォーム事業や東南アジア地域を対象とした海外事業など、拡大する全ての事業において事業活動そのものが環境貢献につながることを目指すと宣言している。また、地球温暖化やPM2.5などの大気汚染に対する緩和策と適応策を備えた住宅の環境配慮技術を「きれいな空気と地球を守る」として解説した。また興味深いのは、近年、企業が発行する「環境報告書」は、ペーパーレス化の目的からWEBでのみ閲覧可能にするパターンが多いが、同社では幅広いステークホルダーとのコミュニケーションツールとしての使いやすさを重視し、「冊子版」での発行を継続している。ただし、冊子版の用紙は、環境負荷低減のため、FSC認証林および管理された森林から製造された用紙(FSCミックス品)を使用している。
ひとくちに「地球環境への取り組み」といっても、企業や団体によって、その方法や考え方は様々だ。また、環境対策だけでなく、環境報告書やCSR報告書にはその企業が今現在保有している最新の技術が記されている事も多い。7月に入ってから、2015年版の報告書も続々とアップされている。企業の動向を知る上でも貴重な資料として活用できるのではないだろうか。(編集担当:藤原伊織)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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