各分野で迫られる超高齢社会対応 コールセンターの「高齢者対応研修」が登場

2015年7月8日 10:53

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記事提供元:エコノミックニュース

 「平成26年版 高齢社会白書」によると、日本の高齢化率は2013年時点で25.1%まで上昇している。このため、医療をはじめとして世の中の様々な分野で高齢化対応が迫られている。今回、ベネッセグループのTMJは、コールセンター向け高齢者対応研修の提供を正式に開始すると発表した。また、聴覚心理の専門家であるオトデザイナーズと共同開発したタブレットを使って高齢者の聞こえ方を体感できる「ジェロトーク」を研修フォローツールとしてオプション提供する。

 コールセンターにおいても、高齢の利用者との通話に対して、応対の改善を迫られてきている。TMJの顧客調査においても「対策を講じている」と回答した企業は30%程度に留まり、具体的な対応策を模索している段階だという。

 このような課題に対し、TMJは2011年から東京大学の産学ネットワーク「ジェロントロジー(老年学)」に参画するとともに、コールセンターにおける高齢者対応に関する研究を開始。高齢者の特性(加齢による変化)を踏まえた「応対方法」「人材育成」「品質管理方法」などの研究を進めてきた。

 さらに、2012年からは聴覚心理の専門家であるオトデザイナーズと「高齢者の聞こえ」に関する共同研究により、自分の声が「加齢により聞こえが衰えた高齢のお客様」にどのように聞こえるか模擬変換し、体感できるシミュレーションツール「ジェロトーク」を開発した(1カ月レンタル/台:5万円~(税込))。

 今回、TMJが独自に開発した従来の実践的研修を、これらの研究を通じて蓄積したノウハウ・研究成果を基に、高齢者対応に特化して研修プログラム化し、高齢のお客様の満足度向上を目指すコールセンター向けに、高齢者対応研修として正式に提供開始した。

 高齢者対応研修メニューとしては、オトデザイナーズ代表取締役の坂本氏の講義による、耳・聞こえの構造理解や実体験を通じた高齢者との円滑なコミュニケーションを行うための基本を学ぶ研修がある。演習では、「ジェロトーク」を用いて、受講者の方の話し方に関するワンポイントアドバイスも行う。受講料は40万円~(税込)で、10名以上推奨となっている。

 また、コールセンタースタッフが日々の業務で実践できる高齢者応対スキルの基礎を習得できる。ケーススタディを元にした実践的な研修・演習。演習では、「ジェロトーク」を用いて、受講者の方々に自身の声が加齢により聞こえが衰えた方にどのように聞こえるか体感してもらう。価格は60万円~(税込)で、10名以上推奨となっている。(編集担当:慶尾六郎)

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