【中国の視点】元安進行:裁定取引が主因か、人民銀との駆け引きが継続も

2015年2月4日 08:10

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記事提供元:フィスコ


*08:10JST 【中国の視点】元安進行:裁定取引が主因か、人民銀との駆け引きが継続も
人民元の対米ドル為替レートで元安が続いている。上海外国為替市場では、2日まで8営業日のうち、5営業日の元の下落幅が許容変動幅(上下2%)に近づいた。

元安が進行している背景について、中国経済の先行き不安や米国の利上げ観測、欧州中央銀行(ECB)が先月末、市場予想以上の金融緩和に踏み切ったことがしばしば取り上げられていた。

ただ、中国経済の成長ペースが鈍化しているものの、引き続き7%以上を維持している。また、仮に米国が予定通り利上げを実施しても、米ドルの預金金利が元の預金金利を大幅に下回るため、中国経済や米中の金利差では説明がつかないとの見方が浮上している。

一部の香港為替トレーダーは、元安進行について、オンショアとオフショアの金利差や価格差を利用した裁定取引(アービトラージ)が拡大していることが主因だとの見方を示した。一部企業や金融機関が中国国内で米ドル買い・元売り取引を実行し、香港のノンデリバラブル・フォワード(NDF)市場で反対売買(米ドル・元買い)する。香港と中国本土の価格差(1日当たり)は約80ベーシスポイント(bp)があるため、大量売買した場合、大きな利益が得られるためだ。

ただ、元安がいつまでも続くわけにはいかないと指摘されている。人民銀による為替介入のリスクを抱えているため、足元では昨年の最安値水準1米ドル=6.2676を意識する展開になる可能性があるとみられている。一部では、人民銀が許容変動幅を拡大させても、1米ドル=6.0-6.3元の間で動かせる意図があるとみている。《ZN》

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