日生、2月より一時終身保険の保険料を引き上げ

2015年1月13日 20:06

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記事提供元:エコノミックニュース

 9日、日本生命保険が貯蓄性の高い「一時払い終身保険」の保険料を2月より約1~2%引き上げるとの発表を行った。今回の保険料引き上げの理由として日本生命保険は、長期金利が低下し、国際の運用では十分な利回りを確保するのが困難になっているためと説明している。今回のこの日本生命保険の決定を受けて、ほかの生命保険会社も同様に保険料を引き上げる可能性もある。かつてない低金利が続くこの状況が、国債の運用を基本とする生命保険業界に対して大きな負担となり、その影響がそのまま国民に影響した形となった。

 保険料引き上げの対象となる商品は、全国の営業職員が販売する一時払い終身保険「マイステージ」で、契約者の利回り(予定利率)を今の1%から0.05%引き下げ、0.95%にするとしている。こうして予定利率を引き下げるのは、2013年4月以来のこととなる。保険料の引き上げ幅は年齢や性別によって異なるが、おおむね値上がり幅は1~2%程度で、たとえば契約時の年齢が50歳で死亡時に受け取れる保険金額が500万円の場合、保険料は男性で5万6250円上がって413万5550円で、女性の場合だと6万4450円上がって397万300円となる。予定利率を引き下げると保険会社の採算が悪くなるため、契約者からこれまでよりも多く保険料をもらわないといけなくなる。

 生命保険各社は契約者より受け取った保険料を、長期国債などで運用を行っているが、しかし日本銀行が14年10月に追加の金融緩和を行って以来、国債の利回りが低下し十分な利益が得られない状態が続いていた。こうした状況を受けて、今回日本生命保険は保険料の引き上げを決定したというわけだ。もちろん、こうして国債を運用しているのは日本生命保険だけではない。ほかの生命保険会社も同様に国債を運用している。ということは、今回日本生命保険の保険料引き上げは、ほかの生命保険会社にも波及する可能性がある。そうなると昨今の食品の相次ぐ値上げとあいまって、ますます国民の家計は苦しめられることとなる。日本銀行の金融緩和政策が、思わぬ形で国民の生活を圧迫することとなっている。(編集担当:滝川幸平)

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