【鈴木雅光の投信Now】NISA駆け込み需要は期待できる?

2014年10月23日 16:41

印刷

記事提供元:日本インタビュ新聞社

 年末が徐々に近づいてきた。ということは、NISAの2014年枠も締め切りが近付いてきたということだ。

 NISAの原型であるイギリスのISAは、毎年4月5日が締め切りであり、この時期が近付くと金融機関が一斉に利用促進のためのキャンペーンを行う。結果、3月の後半から4月5日の締切日にかけて、一斉に駆け込み需要が発生する。日本でも12月の締切日にかけて駆け込み需要が高まるかどうか注目されており、NISA口座を扱っている金融機関は、駆け込み需要に期待しているフシがある。

 何しろ、NISA口座の稼働率は、全体の3割程度でしかない。つまりNISA口座を開設したものの、まだ何も投資していない人が7割もいるということだ。

 この7割が年末にかけてどう動くのか。いや、動くのかどうか。

 一般的に個人は、マーケットの環境が悪い時は動かず、状況が過熱気味になったところで一斉に動き出す傾向がある。そこから考えれば、景気の先行きに対する不安感が高まっている現状では、駆け込み需要の高まりもそうそう期待は出来ないだろう。米国の株価は高値圏で非常にボラタイルな値動きを繰り返しており、その影響を受け、日本の株価もぱっとしない状況が続いている。アノマリーで言えば、10月はマーケットが不安定になり、11月から年明け4月くらいまでは堅調に推移するが、今のように先行きが見えない状況が続けば、NISA口座の駆け込み需要は、盛り上がらずに終わるだろう。

 利用者の立場から言えば、確かに非課税枠を逃すのは勿体ない話ではある。が、ここで一番やってはいけないのは、非課税枠を使い切ろうとして、11月から12月の間にまとまった資金で投資することだ。特に12月はボーナスシーズンということもあるので、まとまった資金を投資に振り向けやすくなる。

 しかし、そのような投資の仕方は、いささかリスクが高い。マーケットの環境が不安定ななか、まとまった資金で投資をすれば、大きく下落に転じた時の傷口も大きくなる。駆け込みだからといってまとまった資金を動かすのではなく、まずは少額でスタートさせるべきだろう。

 ちなみに、2014年枠の最終締切日は、約定ベースで12月25日になる。(証券会社、公社債新聞社、金融データシステム勤務を経て2004年にJOYntを設立、代表取締役に就任、著書多数)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

【関連記事・情報】
オーエスジーは来期も大幅増益を見込む、株価も見直しへ(2014/10/21)
【株式評論家の視点】海老原紀雄氏に相場展望を聞く(2014/10/21)
【編集長の視点】阪急阪神HDは阪神タイガースの日本シリーズ進出決定を歓迎して急反発(2014/10/20)
NYダウはミニ・セリングクライマックスで底打ち感だが、グローバルの需給ギャップ107兆円は依然、懸念材料(2014/10/20)

※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。

関連記事