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富岡製糸場の世界文化遺産登録、富士山山開き接近とスケジュール目白押しの外国人観光客関連株に待ち伏せ買い妙味=浅妻昭治
<マーケットセンサー>
昔も昔、2度の石油危機に挟まれた遠い、遠い40年もの過去の古色蒼然とした話である。もちろん株価は、原油価格の急騰と石油供給の途絶を懸念するショック安に見舞われていたが、ここからの立ち直りをサーポートしたのが、オイルダラーの日本市場への流入であった。その当時、白洋舎 <9731> の株価が、動意付いたことがあった。証券会社の店頭の黒板(株価ボード)に同社の銘柄プレートが、掛けられているわけもなく、新聞の株式相場欄でも、隅のサービス業の一角に位置する昔も今も目立たない銘柄であるのにである。
そんな地味な銘柄の急動意である。たちまち証券マンの間の話題銘柄となった。急動意の材料は何か、誰が買っているのかなどと詮索が始まった。ところがなかなかこれという手掛かりがつかめない。そこで「砂漠でターバンを洗濯するのではないか」などという笑い話まがいの憶測が生まれた。世界中のマネーを吸収しつつあった産油国で同社主力のクリーニング業を展開するとの見立てであり、要するにオイルダラーの買い介入説であった。これが事実かどうかは、白洋舎の株価動意が、一過性に終わったこともあり、いまではどうでもよくなっていて、多分、同社株の動意そのものが、ベテラン証券マンの記憶にも残っていないだろう。
その白洋舎が、現在、ジリジリと下値を切り上げている。主力株や新興市場の人気株に比べたら、値動きも小幅で値ごろも低位だが、それでも株価そのものは、3年半ぶりの高値水準にいる。このジリ高展開の材料は、オイルショック時と異なって自明である。「オイルダラー」などの外国人投資家の介入などではなく、同じ外国人でも、外国人観光客に関係する。
同社は、昨年7月に前2013年12月期第2四半期累計業績、同12月に12月通期業績をそれぞれ上方修正、純利益が、6億1200万円(前々期比44.2%増)と大幅続伸して着地し、今期純利益も6億3000万円(前期比2.9%増)と予想しているが、この好業績の要因が、訪日外国人観光客の増加を要因としているからである。訪日外国人観光客は、昨年2013年に年間1036万4000人と初めて1000万人を超える過去最高となって、この宿泊施設となるホテルの稼働率が向上、シーツなどのリネンサプライ部門のレンタル事業が好調に推移していることが業績を押し上げている。
この訪日外国人観光客はその後、連続して今年3月、4月と月間過去最高を更新中である。そこで今回の当コラムでは、この外国人観光客関連株に注目してみたい。今週の全般相場は、連続して過去最高値を更新している米国株価に引っ張られ、国内では6月中にも発表される「アベノミクス」の成長戦略への期待も加わり、主力株を中心に上値を試す展開が続きそうで、地味な外国人観光客関連株は、うまく展開しても3番手、4番手の後発人気にとどまる恐れも否定できない。それでも、ゲーム関連株、LINE関連株、ロボット関連株の昨年~今年前半にかけて人気化したセクター株が、リバイバル相場の色合いを濃くしてきているのである。昨年、折に触れ人気化した外国人観光客関連株が、この一角に再浮上する可能性は捨て切れないとみたい。
相場スケジュール的にも、今年6月15日から開催予定のユネスコ世界遺産委員会では、富岡製糸場の世界文化遺産登録が正式に決定され、7月1日には昨年、世界文化遺産の登録された富士山の山開きが予定されていることなども控えている。外国人観光客関連株に待ち伏せの打診買いを入れて、観光シーズン到来の梅雨明けに備えて置くのも一法となりそうだ。(執筆者:浅妻昭治 株式評論家・日本インタビュ新聞 編集長)
※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
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