相続税改正まであと1年 関心が高まる賃貸住宅経営

2014年2月9日 19:17

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記事提供元:エコノミックニュース

 消費税率引き上げの話題の陰に隠れて認知度は低いが、消費税よりも、もっと我々の生活を大きく揺るがしかねない税制改正が着々と進行していることをご存知だろうか。それが、2015年1月から施行される、相続税の改正だ。

 相続税の税率構造や未成年者控除及び障害者控除など、改正は多岐に渡るが、中でも生活に直接影響が大きいのは、「相続税の基礎控除の見直し」についてだろう。現行では定額控除が5000万円のところ、改正案では3000万円に引き下げられる。早い話が、課税対象者が増えるのだ。

 これまで相続税なんてものとは縁がないと思っていた家庭でも、相続税を支払わなければならなくなる可能性が高くなる。下手をすれば、その相続税が払えず、今住んでいる家を手放すことにもなりかねない。

 旭化成株式会社<3407>のグループ会社である旭化成ホームズが実施した「親と子の財産相続に関する意識調査」によると、65歳以上のシニアが所有する相続対象の資産総額は平均約4743.3万円。この数字を見るとまさに、これまでは相続税の「対象外」だった人が、改正後には「対象内」になってしまうことがよく分かる。それにも関わらず、相続税改正の認知度は過半数を割っており、関心の低さが浮き彫りになっているのだ。

 しかし、この相続税制の改正に対抗する術がないわけではない。その対抗策の一つが、賃貸住宅や賃貸併用住宅、二世帯住宅などへの建て替えにより、課税対象となる土地評価額を8割減額できる「小規模宅地等の特例」だ。すでに関心の高い土地所有者の間では、節税対策としてこの「小規模宅地等の特例」の利用に取り組んでいる人も多く、資産を活用するために賃貸経営に踏み出す人も増えているという。

 ただ、いくら節税のためとはいえ、賃貸物件を所有することは大きな事業だ。成功すればメリットも大きいが、失敗すれば節税どころではない。住宅メーカ各社でも、賃貸住宅の開発には積極的で、それぞれオーナーの利益を最大化する提案を行うとともに、競合物件との差別化を図る独自性を打ち出している。

 例えば、パナホーム株式会社<1924>では、大容量太陽光発電搭載の賃貸集合住宅『フィカーサ エコソレイユ』を展開し、賃貸オーナーの注目を集めている。同商品は、「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」を利用することで、20年間で約1400万円もの売電収入を見込めるという大きな収益性が、最も大きな特長だ。

 同社では、2012年より女性をターゲットにしたコンセプト賃貸集合住宅「ラシーネ」を全国で展開している。女性の感性・嗜好に応えるべく、企業内に「ラシーネ研究所」なるものを設立し、女性の生活嗜好の調査・研究を行ってきた。その調査の中でも約38%が太陽光発電利用による売電が入居者に還元されて、光熱費削減などにつながることを望んでいることが判明したという。

 今回の『フィカーサ エコソレイユ』はそんな顧客ニーズに応えられるものとして好評を得ている。このような入居者の要望にも応えることで、付加価値を高め、安定した収益性の確保が期待できるのだ。同社では、『フィカーサ エコソレイユ』をより身近に感じて、詳しく知ってもらうために、モデルルームを神奈川県横浜市にオープンした。

 先に紹介した旭化成ホームズの調査によると、財産相続の方法を「具体的に検討している」は親子共に1割未満しかなかったという。(編集担当:藤原伊織)

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