スポティファイ、新サービスでは“ミュージシャンへのサポート”を重視へ 背景にあるストリーミング市場の実態とは

2014年1月22日 15:15

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記事提供元:NewSphere

 音楽のストリーミング配信サービス大手スポティファイが20日、新事業を立ち上げた。競争の激化するストリーミングサービス市場で、差別化を図る第一歩となるか。海外メディアも今後の展開に注目している。

【アーティストの収入源となるサービスを提供】

 スポティファイは2008年にスウェーデンで始まったサービスで、現在55の市場に2,600万人のアクティブユーザー、内600万人の有料会員を抱える。11日にはサービスを提供する国に中南米、東欧20カ国を加え、全55カ国に拡大した。

 20日に立ち上げた新事業では、マーケティングソフトウェアのプロバイダーであるトップスピンと提携し、アーティストが自分たちの商品を直接ファンに販売できる無料のサービスを開始した。アーティストにとって追加収入源となる画期的なサービスだ。

 また、ロンドンを拠点に始動したSongkickと連動して、音楽を聴いているユーザーにアーティストの演奏会やコンサートを紹介するサービスを提供。アーティスト、レコード会社が収入を得られるサービスを模索している。

【アーティストを味方につけることが成功の秘訣】

 アーティストへのサポートが充分でないと批判されてきたスポティファイだが、新サービスで音楽の作り手に新しいサポートを提供しようとしていると、WIRED.CO.UKは報じた。アップルのiTunesなど、ユーザーが楽曲を購入するサービスに比べると、ストリーミングサービスの収入は不当に少ないと指摘する。多くのファンに直接グッズを販売できるようになることの意義は大きい。

 アーティストを味方につけておくことが、競争の激化するストリーミングサービス市場で成功する秘訣だとBBCは論じている。ミュージック・ウィーク副編集長のPakinkis氏は「スポティファイの推進力は、アーティストが求め続けてきた透明性だ」と評価した。

【多種多様に広がるストリーミングサービス市場】

 スポティファイはより多くの新規リスナーを獲得しつつ、既存ユーザーの維持を目標としているが、パンドラやアップルのiTunesなど既存の大手サービスに加え、新興企業などのライバルの存在は大きい、とウォールストリート・ジャーナルは指摘する。

 スポティファイの新サービス開始と日を同じくして、米実業家でラッパーでもあるドクター・ドレー氏が音楽ストリーミングサービス、ビーツ・ミュージックを立ち上げた。2008年にビーツ設立以来、ヘッドフォン事業で巨大な利益と同時に、多くのアーティスト承認ヘッドフォンを生みだしてきた。ビーツブランドというだけでも信頼に足るサービスとして際立っている、とPakinkis氏は話す。既存のサービスが機械でプレイリストを作成しているのに対し、多くの音楽専門家やDJにプレイリスト作成を任せることで差別化を図っている。

 市場の生存競争に勝ち残るため、各社とも今後さらなる差別化を図っていくことが求められそうだ。

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