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中国の反日感情に苦戦する日本車メーカー トヨタ・ホンダ・日産の対策とは?
1年前、日本政府が尖閣諸島を国有化したのち、中国内での反日感情が高まり、日本車の売り上げは激減した。特に、消費者マインドを冷え込ませたのは、トヨタカローラを運転していた51歳の男性が、暴徒に取り囲まれ、激しく殴打された事件だったという。この映像は、インターネットを通じて広がり、「日本車は危険だ」というイメージを定着させた。
【一時急落するも、企業努力で中国内でのシェアを回復?】
ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、昨年10月時点で、中国における日本のメーカー各社の新車販売シェアが、2012年8月の20.9%から9.1%に急落したという調査会社のデータを紹介している。
以来、日本のメーカー各社は、消費者の気持ちを取り戻すべく、努力してきた。具体的には、自動車の修理費の負担や、暴力によって負傷した場合の補償金の提供などだ。さらに、中国向けに開発された車種を充実させ、広告にも力を入れてきたという。
その甲斐あって、今年7月までには、中国での日本の自動車メーカーのシェアは18.8%にまで回復した。
しかし、これは、決して手放しで評価できる数字ではないと、ロイターは指摘する。その理由は、中国における日本車評価の「地域格差」だという。
【書き換えられる中国内の自動車市場地図】
日本の自動車メーカーはかねてより、広東省などの南部を販売拠点として育ててきた。今回の販売台数の水準が、「尖閣問題以前」まで戻っているのは、これらの地域だ。
しかし、問題は、日本が1930年代後半に占領し、反日感情が根深い、山東省、浙江省、江蘇省などの北部地域では、依然として、日本車離れの傾向が強いこと。そして、これらの地域こそが、現在、広東省や、北京、上海などの都会をもしのぐ巨大な自動車市場として浮上しているということだという。
〈幾重にも連なるハードル〉
日本の自動車メーカーの敵は、根強い反日感情だけではない。これを好機とした西欧の自動車メーカーの現地販売店では、「日本車を持つのは非愛国的」だとか、「日本車=危険」だというネガティブキャンペーンが行われているという。実際、ロイターは、「車のような高価な買い物については、感情論よりも理性を重視する」と述べつつも「日本車は燃費がよく、それが魅力ではあるが、重厚さに欠ける。だから、安全なドイツ車を選んだ」という消費者の声を紹介し、日本車メーカーの多難な前途を浮き彫りにしている。
【退くか、進むか。各社の選択】
こうした状況を鑑み、中国のコンサルティング会社からは、メーカーの将来のためには、こうした拡大市場に食い込む努力が必須だとの指摘があるという。大手各社はそれぞれに、対応策を講じているようだ。
〈トヨタ〉
トヨタでは、一部の幹部から、これほどの敵対市場に資源を注ぎ込む意義を問う声もあがっているようだ。しかし、同社の在北京広報担当者である横井氏は、いかに困難でも、急成長する市場を避けることなく、努力すると述べ、その一例として、1937年に日本軍が大虐殺を行ったとされる南京での支店開設を挙げたという。
〈ホンダ〉
ホンダでは、現状では、これらの市場を開拓するための特別の取組は行っていないという。同社の中国合弁会社の御子柴社長は、同社の自動車が「日本のホンダ」の技術をもとにしつつも、「中国で、地元の人々によって生産・販売されている」ことを強調し、同社の「中国に根を下ろそうという努力」への理解を訴えたいと述べている。
〈日産〉
日産自動車は、昨年118万台だった同社の中国における販売台数を2016年までに、倍近い200万台にまで伸ばすという大きな目標を掲げている。そのためには、「南部頼み」を続けるわけにはいかないという認識の下、反日感情の強い省が厳しい市場であることを認めつつ、熱心なキャンペーンを展開。ショーの開催や、試乗サービスなど、広報活動に力を入れているという。
進むも退くもリスクと困難が伴う中国内での市場開拓。各社の戦略がどう実を結ぶのかが注目される。
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