将来を見据えた住宅選び

2013年7月11日 19:47

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記事提供元:エコノミックニュース

 結婚をしないという選択やひとり暮らしをしないという選択。1990年代末には「パラサイト・シングル」などという言葉で親と同居している未婚者が揶揄されたが、そのような言葉は今となっては昔のこと。生涯未婚率が男性で約20パーセント、女性で約10パーセントと、90年代末の約2倍になっている今、親と同居している未婚者の数も自然と増加している。とはいえ、最近のパラサイト・シングルは、以前のそれとは違い、経済的、精神的に親にパラサイト(寄生)しているわけではなく、同居をすることにより家事を分担したり家計を助けたりなど、親と子どもがうまく支えあいながら、生活していることが多い。働いても給与の額が物価の変動に追いつきにくい時代、支出のコンパクト化にも繋がる、親世帯と子どもの同居は、これからも増えていくであろう。そして、そのような背景の中、新しいスタイルの住宅が登場している。

 2012年8月、旭化成ホームズ株式会社は親世帯と子世帯、そして親世帯の子であり子世帯の兄弟姉妹である未婚者が同じ屋根の下に住むというスタイル「2.5世帯住宅」の発売を開始した。2.5世帯住宅の基本タイプは、世帯ごとに生活空間が分けられていて玄関、キッチン、浴室が親世帯、子世帯分の2つあり、内部で行き来ができる独立2世帯。また、兄弟姉妹用の部屋は、後に兄弟姉妹が独立する可能性も考慮し、親世帯、子世帯の中間に位置しつつも、両世帯の寝室とは離して配置するなどプライベート面で配慮。家族全員が快適に生活できるよう随所に工夫がみられる。

 また、大東建託株式会社<1878>は、13年7月に初の分譲マンション「ジグゼ(XIXE)湘南平塚」発表した。この物件は、家族構成やライフスタイルに応じて住まいの形を調節(アジャスト)できる「アジャストマンション」であり、住居の一部を第三者に貸し出せるタイプの分譲マンション。2LDKの通常型マンションに専用玄関や台所を備えた1Kを1部屋ないし2部屋組み合わせた間取りで、この部屋は35年以内であれば、いつでも賃貸物件として大東建託が借り上げ対応する。例えば、比較的若い世帯が、子どもが独立するまでの間、2LDKの部屋と1Kの部屋をつなげて一つの住まいとして利用し、子どもが独立した後、1Kの部屋を賃貸として出すこともできれば、大学生や社会人となった子どもが、上京や転勤などで数年家を空ける場合に、その期間だけ部屋を貸すこともできる。

 核家族の多い現代とはいえ、家という大きい買い物をするには、親世帯のみならず子世帯や未婚の子どもについても考慮して、購入に踏み切ることが多いであろう。親世帯が比較的高齢であれば2世帯住宅などが候補に挙がりやすいと考えられるが、若い世代であれば、アジャストマンションのように部屋を貸し出せるタイプの住宅にも今後は注目が集まるのではなかろうか。(編集担当:中村小麦)

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