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8割が「辞めたい」、疲弊する看護師の労働現場
自治労連の調査によると、看護師の8割が「仕事を辞めたい」と考えているという(仕事を辞めたいと「いつも思う」26%、「ときどき思う」54%) 。その理由は「人手不足で仕事がきつい」37%、「賃金が安い」29.5%、「休みが取れない」29%、「夜勤がつらい」28.3%などとなっている(「看護職員の労働実態調査 中間報告」2011年)。
看護師の夜勤は1992年、看護師保護法によって1ヵ月に8日以内という努力義務がうたわれた。しかし実態は日本の病院に多い3交代制の場合、4人に1人が9日以上の夜勤を行っている 。
3交代制では日中の勤務を終えた後、数時間の休憩しか取らずに次の深夜勤務に入るスタイルも常態化している。たとえば朝8時半から残業を含めて19時半まで働いた後、帰宅して3時間の仮眠をとり、また夜中0時から翌朝9時までの深夜勤務を行うといった具合だ。これでは実質的に24時間以上にわたって十分な休息なく活動していることになり、日本看護協会の資料によると看護師の6割がこのような勤務を行なっている 。引き継ぎはサービス残業とされる場合も多く、慢性的な疲労につながっている。先の調査では看護師の実に75%が、疲れが「翌日に残る」、「休日でも回復しない」と答えた。
このように過酷な労働環境から、毎年5万人近い新人看護師が誕生しているにも関わらず、10万人以上が辞めていく。資格を持っていながら働いていない「潜在看護師」は55万人ともいわれ、再就職支援も進んでいない 。
看護師の離職原因にもなっている過酷な夜勤は、病院が看護師を増員することによって1人あたりの回数を減らせるだろう。ところが「平成23年 病院経営実態調査」によると、62.3%の病院が赤字経営 。コストカットに腐心する中、人権費だけをそう簡単に増やせるはずはない。それでも医療機関で働く職員の半数は看護師 である。長時間労働に加えて患者の高齢化や重症化、医療の高度化で年々厳しさを増す労働環境が、このままでよいはずはない。
※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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