神戸製鋼、福島第一原発向け放射性廃棄物焼却設備などを受注

2013年3月1日 11:30

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今回納入されたキャスク(写真:神戸製鋼所)

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 神戸製鋼所は28日、同社グループ会社の神鋼環境ソリューションおよびトランスニュークリアと連携し、福島第一原子力発電所内で発生する作業員の装備品等を焼却する設備の建設を受注すると共に、同原発内の燃料プールに保管されている使用済み燃料を貯蔵する金属キャスクの納入を開始したと発表した。

 今回神戸製鋼は、福島第一原発内の「雑固体廃棄物焼却設備」の建設を東京電力より受注した。これは、同原発における作業員の装備品等の放射性廃棄物を焼却・減容するための焼却処理設備で、2014年度下期の稼動開始を目指している。

 また、トランスニュークリアは、福島第一原発内に保管されている使用済み燃料を貯蔵するための金属キャスク11基を東京電力より受注した。今回11基全ての工場製作を完了し、11基中3基を同原発に納入した。残り8基も順次納入する予定。

 現在、福島第一原発の1~4号機原子炉建屋内には合計3,106体の使用済み燃料及び新燃料があり、使用済み燃料共用プールへ移設してより安全性の高い保管を実現する計画があり、その一環として、共用プールの空き容量を確保するために、共用プールに保管されている使用済燃料の一部を金属キャスクへ移設する必要があるという。今回トランスニュークリアが受注した金属キャスクは中型8基、大型3基の計11基で、452体の使用済み燃料を保管することができる。

 神戸製鋼は、原子力発電所向けの金属キャスク(使用済み燃料輸送・貯蔵容器)の製造で種類・基数ともに世界トップ(約250基)の実績がある。また、日本原子力研究開発機構の東海再処理工場や日本原燃の六ヶ所再処理施設向けなどに各種廃棄物の処理・貯蔵施設の納入実績があり、放射性廃棄物の処理・処分・貯蔵分野での事業を推進してきた。

 神戸製鋼は、こうした廃棄物処理分野等原子力関連のエンジニアリングで培った技術や知見を有しており、加えて、都市ごみや下水汚泥等一般の廃棄物処理分野で焼却や水処理の技術・知見を有する神鋼環境ソリューション、およびTNインターナショナル社(世界最大の原子力関連企業体である仏アレバグループ)との合弁会社であるトランスニュークリアとの連携により、グループの総合力によって今回の受注に至った。

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