ルネサス、半導体後工程生産拠点をジェイデバイスに譲渡

2013年1月30日 17:10

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 ルネサスエレクトロニクスとジェイデバイスは30日、いずれもルネサスの100%子会社であるルネサス北日本セミコンダクタ(北セミ)の函館工場、ルネサス関西セミコンダクタ(SKS)の福井工場およびルネサス九州セミコンダクタ(九セミ)の熊本工場、ならびに北セミの100%子会社である北海電子において営んでいる半導体後工程製造事業のジェイデバイスへの譲渡に関する基本合意書を本日締結したと発表した。

 同基本合意書は、両社が半導体製造事業における戦略的パートナーとして長期的な互恵関係を構築することを目的としており、本日の合意に基づき、両社は同取引に関する最終契約書の締結を経て、2013年6月上旬を目途に譲渡を完了する予定。譲渡の方法等の詳細は現在協議中であり、今後詳細が確定次第発表するという。

 ルネサスは現在、収益基盤の強化に向け、ルネサスグループの国内にある生産拠点の再編を進めている。その中で、国内後工程生産拠点については、高付加価値製品対応を中心とし、アウトソーシング比率およびルネサスの海外拠点の生産比率を高めていくという生産戦略の下、北セミの米沢工場およびルネサス九州・山口セミコンダクタの大分工場の維持・強化を推進する一方、事業の選択と集中により、北セミの函館工場、SKSの福井工場、九セミの熊本工場(以下、函館工場、福井工場、熊本工場を合わせて譲渡対象拠点)については「1年を目途に譲渡を検討する」拠点と位置づけ、譲渡対象拠点における競争力の強化、高品質・高信頼製品の継続的な供給、ルネサスとの長期的なパートナーシップの構築が期待できる譲渡先を検討していた。

 一方ジェイデバイスは、国内最大の独立系半導体後工程受託会社として更なる事業成長を目指していく上で、海外競合他社と同等以上のコスト競争力を達成することが必要不可欠であり、そのためには事業規模の拡大が最も重要であると考えていた。

 こうした中、ルネサスとジェイデバイスとの認識が一致し、本日、両社の長期的なパートナーシップの構築の第一歩として、ルネサスが譲渡対象拠点および函館工場の製造支援業務を行う北海電子において営んでいる半導体後工程製造事業を、6月上旬をめどにジェイデバイスに譲渡することについて基本合意した。

 なお、各工場の従業員は、個別同意による転籍を前提に一定期間の出向となる予定。また、今回の取引後、生産委託先として譲渡対象拠点で製造されるルネサス製品については、従来と同等の品質・納期・サービスや更なる改善も含め、顧客に提供していく。

 今回の取引により、ジェイデバイスはこれまでの7拠点に加え、更に3拠点の製造拠点を擁することで、OSAT(Outsourced Semiconductor Assembly and Test)として世界トップ5に入る規模となる見込み。同時に、ルネサスとの長期的な戦略的パートナーとして得られる事業規模の拡大、技術力の融合、ラインナップ拡充等により、コスト競争力、技術力、品質力を更に向上し、世界トップ水準のOSATとして半導体産業のさらなる発展に貢献する。

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