ルネサス、台湾のTSMCに40nm以降のマイコンを製造委託 協業関係を拡大

2012年5月28日 16:40

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 ルネサスエレクトロニクスと世界最大の専業ファンドリーメーカーである台湾積体電路製造(TSMC)は28日、次世代の自動車や家電などの民生機器に使われるマイコンの製造にあたり、40nmの組込みフラッシュメモリのプロセス技術分野で協業関係を拡大することに合意したと発表した。

 両社は、既にルネサスが90nmマイコン世代においてTSMCに製造を委託することについては合意している。今回、新たに40nm以降のマイコンに関しても製造を委託し、マイコンで世界シェアトップのルネサスが保有する世界トップレベルの高信頼、高速読み出し可能なMONOS技術、さらに顧客に対する質の高い技術サポートと、TSMCの先端CMOSプロセス技術とフレキシブルな生産能力を結びつけることにより、両社はマイコンプラットフォームとその生産に必要な先端技術を共同開発し、マイコン市場をリードすることを目指す。

 ルネサスとTSMCのこれまでの協業実績に引き続き、TSMCが今回先端CMOSプロセス技術と生産能力を提供することで、ルネサスはコスト効率と高信頼性を両立させながら、フラッシュメモリを次世代マイコンに搭載することができる。40nmプロセスにおいても、高速動作・低消費電力のマイコンが実現でき、現行の90nm品と比べて半分以下のチップサイズを達成できる。こうした特長は、ロジック、メモリ、その他周辺機能を小さなチップに集積したマイコンを設計する上で、極めて重要だという。

 さらに今後、両社は今回の協業を通じて得たマイコンのMONOS混載プロセスプラットフォーム技術を世界中の半導体サプライヤー(ファブレス、IDM含む)に広く提供することにより、マイコンのエコシステムの構築を目指し、一層の顧客の創造を図る。

 今回の協業につき、ルネサスの執行役員MCU事業本部長の岩元伸一氏は、「ルネサスが今後、半導体事業のグローバルな成長を目指す上で、先端プロセスの製造能力をタイムリーに、かつ大量に提供でき、しかも急激な需要の変動に適確に対応できるTSMCと協業することは、グローバル市場での更なる成長を実現する上での重要な鍵と考えた。また、昨年の震災により当社の複数の生産拠点が被災し、お客様のビジネスに多大な影響を与えてしまったことを教訓として、BCPの観点からもファブネットワークの構築を推進している。両社の世界トップクラスの技術力を合わせてお客様に安定的に製品を供給できる体制を構築すると共に、マイコンのエコシステムの構築を目指し、マイコンのリーダーとして市場を牽引していく」と述べている。

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