日本電産、イタリアの産業用モーター大手企業を買収

2012年4月12日 10:57

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 日本電産は12日、プライベート・エクイティファンドPatriarch Partners,LLCの非上場関連子会社HVEASI Holding, B.V.(オランダ)から、イタリアの産業用モーター大手「Ansaldo Sistemi Industriali S.p.A.(以下、ASI)」の全株式を取得することに合意し、4月11日付で株式売買契約書を締結したと発表した。

 ASIはイタリアに本社(ミラノ)、その他主要3拠点を有しており、産業用モーター事業の分野では、約160年の歴史を有する欧州の老舗企業。欧州に強力な販売基盤を有しており、さらに中東、ロシア、インド、中国にも販売実績を有している。産業用大型モーターに加え、低電圧・中電圧ドライブ事業、産業システム及びオートメーション事業も主要事業としており、顧客のニーズに応じてカスタマイズされたソリューション提供を行っている。

 日本電産は、中期経営目標「Vision2015」の下、家電・産業用モーター事業を重点事業のひとつとし、同事業において自律成長を追求しながらも、M&Aを積極的に加速展開することにより事業拡大を目指している。このような方針に基づき、2010年9月、日本電産モーター(米国における元Emerson Motors & Controls事業、以下NMC)買収により、北米・南米における産業用モーター事業の強化に努めてきた。産業用モーター事業に関しては、NMCが北米・南米でプレゼンスを有しており、その主要製品は低出力から中出力まで(最大3,730kW)のモーターとなっている。

 今回の買収後、NMCが販売基盤を有していなかった地域(欧州並びに中東、ロシア、インド、中国)の市場を獲得することにより、日本電産グループの産業用モーター事業のグローバル展開を加速することができる。短期的にはNMCとASIの間で両社の既存ブランド及び取引関係を相互活用することによる販売拡大、中期的には新規顧客及び新市場開拓が期待される。

 また、NMCの産業用モータ事業がこれまで有していなかった高出力(3,730~35,000kW)の産業用大型モーター・発電機事業、低電圧/中電圧ドライブ事業、産業システム及びオートメーション事業を獲得することにより、製品ポートフォリオを大幅に拡大することができるため、今回の買収はNMCがフルレンジの製品を有するソリューション提供者としての地位を確立するための布石となる。

 さらに、NMCが水周り・排水事業分野に強みを有するのに対し、ASIはこれまでNMCが参入していなかった金属、発電、オイル・ガス事業分野に強みを有しており、新たな事業分野へのNMC製品の提供の機会が期待される。

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