日立、中国にて特許情報提供サービス事業に参入

2011年11月4日 11:00

印刷

記事提供元:エコノミックニュース

 中国の特許市場はここ数年で急激な伸びを見せており、中国特許庁への特許出願数は2005年から2010年の5年間で約2.3倍となるなど、国際的に見ても米国に次ぐ世界2位の市場規模に躍進。特に、中国企業や個人による特許出願は盛んになっており、2010年においては中国特許庁への出願件数のうち約73%が中国の企業や個人による特許出願となっている。一方、中国から諸外国への特許出願件数も増加しており、2010年に欧州特許庁が受理した中国からの特許出願は1万3千件に達し、2008年の約2倍と飛躍している。

 このように、中国企業の特許に関する意識は非常に高まりつつあり、特にグローバル進出を行っている、または視野に入れている大企業では、欧米や日本の企業と同様に企業戦略の重要な一部として知的財産戦略をとらえている。また、輸出先の市場において特許侵害などのリスク回避の意識も高まっていることから、中国国内のみならず、諸外国、特に特許登録件数の多い米国、欧州、日本や、経済発展を続けるBRICsの特許について検索や閲覧したいというニーズが高まっているという。

 そのような中、日立製作所は中国において、現地企業の知的財産部門や特許事務所など向けに、特許情報提供サービス事業に参入。具体的には、中国国内特許をはじめ、米国や欧州、そして日本など合計14の国と地域の特許情報の検索と閲覧ができるシステムを中国向けに開発し、特許情報提供サービス「digi-patent/s」(デジパテント エス)として、12月1日から提供を開始する。

 「digi-patent/s」では、企業ごとにシステムを構築して特許情報を提供するサービスとともに、小規模な企業や特許事務所といったユーザー向けには、SaaS型で提供するサービスをメニューとして取りそろえている。システム構築型は、北京工業大学と日立の合弁会社である北京日立北工大信息系統有限公司(以下、HBIS)が提供し、また、SaaS型においては、北京工大の事業会社である北京工大智源科技発展有限公司が提供する。

 なお、同サービスは、日立が日本国内で提供する業界トップシェアの特許情報提供サービス「Shareresearch」(シェアリサーチ)をもとに開発したものだという。

 日立は現在、日本国内向けに知的財産管理システム「PALNET/MC6(パルネット エムシー シックス)」や特許情報提供サービス「Shareresearch」の提供を実施。これらの製品は国内特許出願件数でトップクラスを誇る日立知的財産権本部のノウハウを用いて開発しており、多くの企業の知的財産部門において利用されている。今後もこれらの特許関連システムのノウハウを活用し、中国の特許事務所および企業の知財部門に対し、特許関連ソリューションを提供していく。

※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。

関連記事