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競争が激化する電子書籍、国内2社が年末にかけて専用端末を投入
インターネットをはじめとしたメディア環境の変化によって、書籍の販売が低迷し、雑誌の休刊が相次ぐ中、電子書籍関連の市場は活気づいている。iPhoneの急速な普及や今年5月のiPadの発売を機に"端末で本を読む"という新しい文化が大きな注目を集めてきたが、12月に入り、国内の電機メーカー2社が満を持して専用端末を発売することで、今後の競争の激化が予想される。
ソニー <6758?>は25日、電子書籍専用端末「リーダー」を12月10日に発売すると発表した。ラインナップは5型ディスプレイの「リーダー ポケットエディション」と6型の「リーダー タッチエディション」の2種類で、市場価格は2万円前後と2万5000円前後になる。同商品の特徴は、先述のアップル2製品とは異なり、電子書籍の閲覧に特化しているということだ。ディスプレイには液晶ではなく、米イーインク社の電子ペーパーを使用。赤外線方式のタッチパネルを搭載し、ページめくりなどの操作を直感的に行うことができる。2ギガバイトのメモリーに、文庫本にして約1400冊を保存可能だ。
さらに、シャープ<6753>も電子書籍事業の総合ブランド「ガラパゴス」より、メディアタブレットを12月に発売する。ラインナップは、「雑誌が見開きで読める」という10.8型の「ホームモデル」と、スーツの内ポケットに入り、「文庫本感覚で手軽に楽しめる」5.5型の「モバイルモデル」の2種類となっている。同商品は、タッチパネル操作のほか、指で回転させることでページめくりなどを容易に行えるトラックボールを装備しているほか、あらかじめ設定した時間帯に新聞や雑誌などのコンテンツが自動で届く定期配信サービスなども他社製品と差別化するためのポイントとして挙げている。
ソニーが「リーダー」発売後の1年間で30万台の販売を目標に掲げ、専用端末のシェアで過半を得ることを目指すと発表するなど、端末の発売時期が重なったことによって両社の主導権争いの構図が浮かび上がる。しかし、当面は、出版社や新聞社といった多数のコンテンツ会社が配信を手掛け、電子書籍を閲覧する端末としても一歩リードしているiPadの牙城を"専用端末"が崩せるのかどうかに注視したい。
(編集担当:上地智)
※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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