スペースX12兆円IPOが市場を揺らす AI株急落と“資金吸収ショック”の正体

2026年6月12日 17:27

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●スペースXがIPOで750億ドル調達

 12日にナスダックへ上場する米実業家イーロン・マスク氏が率いる米宇宙企業スペースXが、新規株式公開(IPO)を通して750億ドルを調達した。

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 IPO価格は1株当たり135ドルに設定され、約5億5555万株を発行。過去最大となる750億ドル(約12兆円)となった。

 機関投資家は資金を確保するため、株式市場全体の需給悪化を引き起こした。米雇用統計の好調を受けて利上げ観測もあったが、発表後の5日のNYダウは一時870ドル下落し、週明け8日の日経平均も史上5番目の2563円安となった。

 エヌビディアやブロードコムなどのAI・半導体株の売りも目立った。期待の高まるスペースXの上場は、株式相場全体の流れを変えてしまうのか?

●なぜスペースXの期待が高いのか?

 スペースXは、イーロン・マスク氏によって2002年に設立された米国の民間宇宙航空企業で、ロケットの再利用技術や衛星通信サービスなどの革新的な事業を展開している。

 スペースXには、通信インフラ・AI・国家安全保障を掌握するメガ・テクノロジー企業としての期待がかかる。ロケットや衛星の設計、製造、打ち上げ、運用までをワンストップで完結できる。

 地上でのAIデータセンター不足を宇宙で解消する軌道AIデータセンター構想や、ロケットの再使用技術のよる圧倒的な低コスト化により、2~3日に1回という驚異的なスピードでロケットの打ち上げを実現できる。

 世界中で1000万人規模の加入者を抱える地球規模のインターネット通信網スターリンクが、強固な資金源となっている。

●過大評価との声も?

 10日のロイター通信の報道では、投資家から2500億ドルを超える需要を集めていることが分かっている。主幹事であるモルガン・スタンレーは、スペースXの売上高は2030年には25年の18倍の約3300億ドル(52兆円)に達すると見込んでいる。

 ただ、現状は1~3月の営業損益は約19億ドル(3040億円)の赤字で、データセンター運営含むAI(人工知能)部門は約25億ドルの赤字だった。2025年の純損失は50億ドル(8000億円)に達するなど、財務面の不安はぬぐえない。

 米調査会社モーニングスターのレポートでは、適正価格は上場時の時価総額の半額以下である7800億ドルを見込んでいる。

 過去の大型IPOでは、上場後1年は株価が低迷することが多く、スペースXも「将来の期待と夢を先食いした過大評価だ」という指摘もある。

 S&P500も早期組み入れには慎重な姿勢を示しており、スペースXの資金が早期にハイテク株に戻ることも十分考えられる。(記事:森泰隆・記事一覧を見る

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