Synspectiveの小型衛星にかかる期待

2026年3月16日 17:15

印刷

7機目の小型SAR衛星を打ち上げたElectronロケットの様子(画像: Synspective)

7機目の小型SAR衛星を打ち上げたElectronロケットの様子(画像: Synspective)[写真拡大]

●Synspectiveの株価が上昇

 衛星開発のSynspective(シンスペクティブ)は9日、8機目となる小型SAR衛星Strixシリーズの打ち上げについて発表した。打ち上げ期間は3月19日から14日間で、ニュージーランド島・マヒア半島から打ち上げられる。

【こちらも】原油高で下落する株式市場、その行方は?

 発表が好感され、株価は前日比8%超の98円高となった。2月にも防衛省の宇宙関連事業において、衛星画像データの取得および解析業務に関する大型契約が好感され、約7%上昇していた。

 高市政権では重点17分野の1つとして、防衛・宇宙分野へ投資を集中させることを目指しており、国策銘柄としてもSynspectiveへの期待がかかる。

●日本の人工衛星産業とSynspectiveの歴史

 日本はJAXA(とその前身機関)を中心に、1970年の初衛生「おおすみ」以来、情報収集衛生や、気象観測「ひまわり」、地球観測「だいち」などを運用しており、世界で5番目の打ち上げ数を誇る。

 しかし1基当たりの打ち上げ費用は、数十億から200億円かかるなど高コストが問題となっている。そのため現在日本では、衛星の少量生産が主流であり、量産化が遅れているなどの課題がある。

 2018年に創業されたSynspectiveは、慶應大学発の宇宙スタートアップ企業で、2024年に東証グロースに上場、2030年までに30機体制の構築を目指している。

 Synspectiveは大型衛星とは異なり、10分の1のコストで生産し、衛星の製造・打ち上げ・運用だけでなく、自社で解析ソリューションまで一貫して提供することができる。

 衛星データの民主化を進めている。

●課題解決は宇宙・防衛以外にも?

 従来の光学衛星では、夜間や曇天時の観測が困難だった。

 SynspectiveのSAR衛星は、自ら電波を発生させるため、24時間全天候での地表観測が可能となる。

 防衛・宇宙だけでなく、17分野に含まれる他の分野にも好影響を与えるだろう。

 インフラ整備・国土強靭化の面では、地盤沈下や上下水道間の漏水において衛星データを活用できる。人手による計測が困難な広範囲のインフラ監視も可能となる。

 災害・防災関連にも人工衛星は役立つ。悪天候下でも、衛星による被害状況の把握が可能になることで、迅速な災害対応ができる。

 Synspectiveは、日本の多くの課題を解決できる可能性を秘めている。(記事:森泰隆・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事