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関税違憲判決でも米株は平常運転、市場は織り込み済み

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米連邦最高裁がドナルド・トランプ大統領の関税措置を違憲と判断したが、米株式市場の反応は極めて限定的だった。報道が流れたのは米国時間の金曜日夜だったが、株価は下落せず、むしろ小幅に上昇する場面も見られた。市場では、今回の判断自体と、その後に想定される対抗措置が事前に織り込まれていたと受け止められている。
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この材料で株価が崩れなかった背景には、関税政策を巡る一連の動きが新味に欠けていた点がある。最高裁が違憲判断を下した場合でも、トランプ氏側が何らかの対抗姿勢を示すことは想定内だった。実際、関税を巡る報道は突発的なショックとはならず、株式市場は終始落ち着いた値動きにとどまった。
■政治的カードとしての関税
関税はこれまでも経済合理性より、政治的な交渉カードとして使われてきた側面が強い。関税を引き上げるとして相手国に圧力をかけ、その後の交渉で譲歩や好条件を引き出し、最終的には引き上げずに終わるという流れが繰り返されてきた。
市場関係者の間では、この動きを皮肉を込めて「TACOトレード」と呼ぶ向きもある。強硬姿勢を打ち出しながらも、最終的には関税を引き上げず、交渉成果を政治的にアピールするというパターンが定着しているとの見方だ。関税は恒久的な政策ではなく、ディール成立を前提とした一時的な手段にすぎないとの認識が、市場では広く共有されている。
■引き下げ前提の戦略
今回示された代替的な措置でも、関税率は最大15%とされ、日本など主要国にとって追加的な負担は限定的だ。関税を高水準で固定するよりも、引き下げ余地を残した方が、相手国から有利な条件を引き出しやすいとの判断が市場の共通認識になっている。
中間選挙が近づく中で、物価や景気に悪影響を与える強硬な関税政策を長期化させる可能性は低い。インフレを再燃させるような政策は有権者の反発を招きやすく、政治的なリスクが大きい。対外的には強い姿勢を示しつつも、実体経済を犠牲にする選択は取りにくいとの見方が優勢だ。
■市場の焦点は金融政策
関税判断への反応が薄い一方で、市場の関心は金融政策に向いている。2月18日に公表された連邦公開市場委員会の議事要旨では、物価上昇が続く場合、利上げが適切になる可能性に言及するメンバーが複数いた。
米国経済は足元で底堅く、雇用や個人消費も堅調だ。市場では、関税を巡る政治イベントよりも、インフレ指標の動向や金融政策の方向性が、今後の株価を左右する主要な材料になるとの見方が強まっている。関税問題は一巡し、市場はより本質的なマクロ要因を見極める局面に入ったと言えそうだ。(記事:Osaka Okay・記事一覧を見る)
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