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半導体関連株の中核担う東京エレクトロン 業績と中長期戦略から整理する3つの投資視点
生成AIの普及やデータセンター投資の拡大を背景に、半導体関連株への関心が高まっている。日本市場において、その代表的存在とされるのが半導体製造装置大手の 東京エレクトロン である。同社は売上高の約9割を海外で稼ぐグローバル企業であり、日本株の中でも国際競争力の高い企業として位置づけられている。
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東京エレクトロンは、成膜、塗布・現像、エッチング、洗浄といった半導体前工程装置を主力とする。先端半導体では微細化の進展により装置の精度が歩留まりを左右するため、高い技術力を持つ装置メーカーの存在が不可欠となる。同社は長年にわたる研究開発投資を通じ、こうした分野で高い競争力を築いてきた。
業績面では、半導体投資の回復局面とともに収益力を大きく伸ばしている。2025年3月期の売上高は約2兆4,000億円、営業利益は約7,000億円規模で、営業利益率は28%前後と製造業としては極めて高い水準である。装置単価の上昇に加え、保守・サービス収入の積み上げが業績の安定性を高めている点も特徴だ。
投資初心者が同社を理解するうえで、第一の視点として意識したいのが、半導体市場の成長性と循環性である。世界の半導体市場規模は2023年時点で約5,000億ドルとされており、生成AIや自動車の電動化を背景に、2030年には約1兆ドル規模へと、現在の約2倍に拡大するとの予測がある。
一方、製造装置市場は半導体メーカーの設備投資計画に左右されやすく、数年単位で需要の波を繰り返してきた。東京エレクトロンの事業もこの循環の影響を受ける点は押さえておきたい。
2つ目の視点として重要なのが、事業の競争力と株価の関係である。同社は高い技術障壁を持つ装置を主力としており、価格競争に陥りにくい構造を持つ。
ただしその強さが、短期的な株価動向と一致するとは限らない。2021年後半から2022年にかけては、半導体市況の減速懸念を背景に、業績が堅調に推移する中でも株価が高値から2割前後調整する局面が見られた。もっともこうした局面を経ても同社の事業基盤が揺らいだわけではなく、結果として中長期での競争力の高さが改めて意識される場面も多かった。
3つ目の視点として、中長期戦略と評価水準の関係が挙げられる。東京エレクトロンは研究開発費として売上高の1割前後を継続的に投じ、先端分野での競争力維持を重視している。
生成AIや次世代ロジック半導体向け需要の取り込みを成長ドライバーと位置づけているが、こうした期待はすでに株価に一定程度織り込まれている可能性もある。一方で、技術革新のスピードが速い半導体分野において、大規模かつ継続的な研究開発投資を行える体制が、同社の中長期的な企業価値向上を支えている点は評価したい。
東京エレクトロンは、日本の半導体関連株を代表する企業として、事業内容、業績、中長期戦略のいずれの面でも高い存在感を示してきた。投資を検討する際には、市場環境、事業の競争力、評価水準という3つの視点を整理し、事実と数字に基づいて冷静に判断する姿勢が求められるだろう。
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