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米政府機関閉鎖か、株価に与える影響は?

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●米政府機関閉鎖の可能性高まる
米国連邦政府の2025年会計年度末(2024年10月~2025年9月)が9月末に迫る中、つなぎ予算成立の目途が立たず、予算切れによる政府機関一部閉鎖の可能性が高まっている。
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国防や国境警備などを除く緊急性の低い公的部門で職員が自宅待機となり、関連業務が停止となる。米国では過去40年に10回起きている。
第一次トランプ政権時にも、2018年~2019年にメキシコとの国境の壁予算を巡って、米国史上最長となる35日間の閉鎖となった。
政府機関の閉鎖により、政府のサービスやプログラムが停止、経済や株価にも大きな混乱が起きることが懸念される。
●雇用統計にも影響?
10月3日に発表予定の9月の雇用統計が、大きな注目を集めている。
9月に発表された8月の雇用統計は、事前予想を下回った。9月16日~17日のFOMC(公開市場員会)では、9カ月ぶりに政策金利を25bb引き下げている。
雇用統計の数値は、年内のさらなる利下げへも影響を与えると、注目されている。
もし政府機関の閉鎖となれば、雇用統計の発表が延期される可能性がある。1日に発表されるADPなどの民間の雇用統計は予定通り発表できるが、信頼性が違う。
トランプ大統領は、政府機関閉鎖となれば、職員の大量解雇にも乗り出すことを検討しており、さらに雇用悪化の懸念もある。
●今回は危機感が高い?株価には楽観的に見方も
政府機関閉鎖は毎年この時期の“秋の風物詩”のようになりつつあり、共和党と民主党の”政争の具”になっているとの批判もある。それでも、いつもギリギリのところで回避してきた。
民主党は、トランプ大統領肝いりの大型減税関連法案で定められている低所得者向けの医療制度「メディケイド」削減の撤回や、医療保険補助金の延長を求めている。だがこの民主党案では、債務が10年で1兆5000億ドル(約220兆円)増えるとの米シンクタンクの試算がある。
共和党側からすれば受け入れがたく、民主党も来年の中間選挙を控えており、一歩も引けない。
トランプ大統領も「民主党はクレージーだ。政府が閉鎖しなければならないなら、閉鎖されるしかない」と強気の姿勢を崩さない。
過去の例からは、政府機関閉鎖により株価が暴落したケースは無いが、今回は金相場が1オンス=3800ドルを突破し過去最高値を記録するなど、リスクとして意識されている可能性は高い。
一時的ではあるが、ドル安・円高が進み、株安が進むことも、過去の例よりは確率が高いかもしれない。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
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