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相場展望6月17日号 米国株: 金利再上昇と政治的混乱が懸念材料 日本株: ボックス圏相場が下放たれるリスク、日銀は「大丈夫か?」
■I.米国株式市場
●1.NYダウの推移
1)6/13、NYダウ▲65ドル安、38,647ドル
2)6/14、NYダウ▲57ドル安、38,589ドル
【前回は】相場展望6月13日号 米国株: FRBは金利据え置きを年内は続けると見込む 日本株: 日経平均は堅調に推移、しかし軟調な地合いに注目
●2.米国株 : 金利上昇と政治的混乱が懸念材料
1)米国株はNYダウを除き、他の株価指数は最高値水準にある
・米主要株価指数の状況
NYダウ 最高値を5/17に40,003ドルを付け、6/14は▲1,414ドル安と38,589ドルで、▲3.5%安。
S&P500種 最高値を6/13に5,433を付け、6/14は5,431。
半導体株(SOX) 最高値を6/13に5,602を付け、6/14は5,598。
2)金利低下と自社株買いでハイテク株が牽引する米国株式相場
・一方、ミシガン大の消費者態度指数が予想外の減速したため、消費減退が重荷になる可能性がある。
3)金利再上昇と、政治的混乱への懸念
・懸念材料
・FRBの金利据え置き姿勢が続くが、債券市場では逆に金利低下している。このいびつな金利低下は、いずれ修正されて金利上昇すると予想する。
・フランスに端を発した政局混乱が、欧州各国に波及し、株式市場は不安定になっている。この混乱は現在、米国市場に影響を与えていないが、不安材料である。
・米国自体の懸念として、バイデン大統領の健康不安が勃発し、大統領選挙の結果も不安視される。
●3.「さらに数カ月」の良好なインフレ指標が必要=米シカゴ連銀総裁(ロイター)
●4.米新規失業保険申請件数、+1.3万件増の24.2万件、10カ月ぶりの高水準(ロイター)
●5.米5月卸売物価指数(PPI)は前年同月比+2.2%上昇、4月は+2.3%だった(ロイター)
1)PPIの前月比は▲0.2%下落と、市場予想の+0.1%上昇に反し下げに転じた。エネルギーコストが下落した。
■II.中国株式市場
●1.上海総合指数の推移
1)6/13、上海総合▲8安、3,028
2)6/14、上海総合+3高、3,032
●2.中国で安売り店が躍進、近づく「日本型デフレ」の足音(ロイターより抜粋)
1)中国では一部の小売業者が低価格を売りに積極的にシェアを拡大し、大きな利益を手にしている。
2)しかし、こうした経営戦略が厳しい価格競争を一段と激化させており、中国が慢性的なデフレに陥るのではないかとの懸念が高まっている。
●3.中国「領海侵入」で外国人を最長60日間拘束可能に、6/15から法令施行(日テレより抜粋)
1)日本の漁業者など影響懸念
●4.中国主要不動産20社、5月販売面積は+4%増止まり、政策効果は限定的(日経新聞)
1)前年同月比は▲34%減だった。
■III.日本株式市場
●1.日経平均の推移
1)6/13、日経平均▲156円安、38,720円
2)6/14、日経平均+94円高、38,814円
●2.日本株:ボックス圏相場が下放たれるリスク 日銀は「大丈夫か?」
1)日経平均は39,000円が壁となり、ボックス圏相場が続く
・日経平均は心理的節目の39,000円に差し掛かると、押し戻される展開が続いている。
・TOPIXは、3/22の2,813と6/3の2,798と高値水準でダブルトップを形成した。その後、下方に転じる動きを示している。
2)日銀は「大丈夫か?」
・6/14の日銀の金政策決定会合で、「国債買い入れの減額の規模など具体的な内容を示さず、次回会合に持ち越した」。要するに、日銀は検討項目を提示したのみで、問題を先送りした。
・日銀の政策決定はフラ付き、すかっと金融政策決定できない状況が続く。6/14の日銀の金融政策決定会合の決定事項と日銀総裁の記者会見は、意思決定できない「悩める日銀」の実態を晒しただけ。金融政策決定会合では、明確な方向性を打ち出せない姿をみせただけ。
・日銀は市場との対話が「下手過ぎ」。
・日本の金融政策を任すには、今の日銀総裁では不安を覚える。
・このような日銀を見ると、市場は不安感を強めるだろう。
・市場の評価が低いことが、円相場の158台への円安進行が裏付けている。植田・日銀総裁が誕生してから1年3カ月で、円相場は「▲25円もの大幅下落」した。
円相場の推移
植田・日銀総裁発足の2023年4月平均円相場 133円
6/14の日銀・金融政策決定会合の結果を受け 158円
差引の円安 ▲25円
・植田・日銀総裁の優柔不断な金融政策が、為替市場から「円売りを浴びせらる」大きな要因を招いた結果といえる。為替市場との会話もできず、市場を恫喝しかできない日銀と財務省という姿だ。
・岸田首相も円安が、食料・エネルギーの輸入価格高騰を直接招く要因となり、国民の生活を毀損していると認識できているとは思えない。円安がもたらす国民生活の困窮について、発言が見られない。
・円安で必要以上に物価が高騰した結果、給与が上がっても、「実質賃金が25カ月連続してマイナス」となっている現実を直視し、対策を打っていただきたい。
3)欧州など西側諸国の金融市場は、フランス発の政治リスクによる動揺が拡大
・フランス政治リスクを巡り懸念が広がり、欧州諸国などで6/13株価大幅下落した。そして、翌日の6/14でも動揺が収まらず、軒並み下落し、底が見えなくなるリスクを覚えざるを得ない。
6/14の主要国の株式市場(前日の6/13比)
フランス▲2.66%安、イタリア▲2.81%安、ギリシャ▲2.19%安
オーストリア▲1.93%安、ドイツ▲1.34%安
・要因は、フランス総選挙でルペン氏勝利を懸念。極右政党が総選挙で勝利すれば、緩和的な財政政策をとると懸念されている。マクロン大統領の支持率は2018年以来の低水準に落ち込んでいる。
・フランス債券市場でも混乱が続き、ドイツ債券とのスプレッド拡大。
・日本の市場に波及するかが、焦点となろう。
4)日本市場の金利は下落
・日本長期金利の推移 6/3 6/11 6/12 6/13 6/14
10年債利回り 1.049% 1.024 0.995 0.964 0.927
・金利低下で、銀行・保険株は下落。借入債務が大きい不動産株は反発。
5)日経平均は3月決算企業の株主総会前の6/24から始まる週から軟化すると予想
・ボックス圏相場を下放たれる可能性がでてくる。
・その理由は下記の通り。
・事業会社による自社株買いは巨額となっており、結果的に日経平均を押し上げた。この自社株買いが、株主総会を前にして止まる傾向がある。
・薄商いが続くなか、巨大な買い筋が相場から離れると、売り方が優勢となりやすくなる。
・まして、4~6月四半期決算発表シーズン入りまで、材料が乏しくなる。いわゆる「夏枯れ相場」になりやすい。
・今まで続いてきたボックス圏相場が下放たれるリスクが増す可能性がある。
・したがって、6/17から始まる週は、利益確定売りの機会の1つとなりそうだ。
●3.キリン、ファンケル買収し、健康関連事業拡大へ完全子会社化(神奈川新聞より抜粋)
1)キリンは2019年にファンケルに約1,300億円を出資し、株式の33%を取得した。残る全株式を1株2,690円で6/17~7/29まで買い付け、年内の完全子会社化を目指す。買収額は約2,200億円を見込む。ファンケルはTOB成立後、上場廃止になる。
2)キリンは、「アジア・太平洋地域で最大級のヘルスサイエンス企業」を目指す。
■IV.注目株式(投資は自己責任でお願いします)
・2175 エス・エム・エス 業績堅調
・2607 不二製油 業績堅調
・4480 メドレー 業績堅調
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