「高級車」造りとはどういう事か

2024年2月6日 16:49

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 Photo: トヨタ従業員なら2500万円のセンチュリーまで「自銘柄」で持てる! (画像提供 トヨタ)

 Photo: トヨタ従業員なら2500万円のセンチュリーまで「自銘柄」で持てる! (画像提供 トヨタ)[写真拡大]

●自動車メーカーも色々

 自動車メーカーにも色々ある。トラック専業メーカーもあれば、軽自動車が主力のメーカーもある。

【こちらも】その国に「自動車」が定着するまでの差とは

 世界的に見れば、フェラーリやランボルギーニ、マクラーレンの様なスポーツカーに特化したメーカーもあれば、ロールスロイスの様な、「超」がつく高級車に特化した極端な存在もある。

 ポルシェは、昔はスポーツカー専門と見られていたが、昨今はカイエンみたいなSUV(Sport Utility Vehicle)もラインアップしている。

●国産メーカーも色々

 国内では、トヨタの場合だと、ダイハツのOEMではあるが軽自動車から、センチュリーの様な超高級車までラインアップしている。

 しかし、例えばホンダやマツダには最上級機種として、リムジンみたいな用途に適合する車種は、持ち合わせていない。

 スズキやダイハツは、元は軽自動車専業メーカーで、軽自動車をベースにした小型車を派生車種で持つ程度であったが、小型車にも守備範囲を拡大している。

●メーカー従業員の車

 自動車メーカーの従業員は、原則として「自銘柄」の車を保有する不文律がある。

 個人保有の一戸建てに住んでいて、駐車スペースの問題も無くて、本人や家族の趣味で「他銘柄」の車を保有する例外的な人も無くはないが、社宅や寮だと、駐車場には「自銘柄」以外は置けない。

 勿論、「他銘柄」車には、車庫証明の発行もして貰えない。通勤に車を使いたくても、他銘柄車は従業員駐車場に駐められない。

 しかし極論すれば、トヨタの社員なら2500万円のセンチュリーだって社宅に駐められるのでは~? ・・・知らんけど。

 昔、マツダがフォードの傘下に入り、無謀な5チャンネル体制を敷いていた頃、「マツダ店」と「マツダオート店」はマツダ車のみを扱ったが、「ユーノス店」はシトロエン、「オートラマ店」はフォード車を、「オートザム店」はランチア、アウトビアンキを扱った。

 その結果、マツダの社員は傘下の5つのチャンネル店で扱う欧州車とフォード車はOKとなり、加えて米フォード本社傘下の銘柄であれば、ジャガーやアストンマーチンまで、原則はOKとなっていた。流石にアストンマーチンは居なかったが、独身寮にはフォードやランチアが駐まっていた。

●高級車メーカー従業員は

 ロールスロイスの従業員が全員ロールスに乗っている筈が無い。また、フェラーリの従業員が全てフェラーリユーザーな訳が無い。しかしロールスの従業員は、「高級」が何たるかを知っている筈だ。

 戸建て住宅の建築を依頼する際、丸太小屋しか建てた経験が無いDIYレベルの大工に発注するか、宮大工レベルの人物に発注するかの結果は明白だろう。

 DIYに毛が生えたレベルで、宮大工が務まる筈が無いのと同様、「高級」とはどういうことか判らなくて、高級車を造ることは出来ない。

●EV車に高級車はあるか

 新興メーカーが、自動車がどうあるべきかが判らないまま、適当に電動モーターと車載電池を見繕って来て、「EV車でございます」と販売する。

 スマホの拡張版みたいなディスプレイで計器周りを飾り上げて、無知なユーザーに売り込む。

 見かけだけの「高級感」演出の目的で、使用時だけ飛び出す埋め込み式ドアハンドル(ヒドンドア)なんてシロモノは、万一の際、外部からの救助活動の妨げになるだけだ。

 本来、「自動車」は「走る」「曲がる」「止まる」の基本を確実に実現し、「快適に」「安全に」目的地まで人員を運ぶことが出来なければならない。

●内燃機関車とEV車の違いは何か

 偶々、EV車は「走る」機能をモーターとバッテリーに置き換えただけであって、「曲がる」と「止まる」は内燃機関搭載車と何等変わる所は無いのだ。

 逆に、「曲がる」「止まる」の部分は、シャシー性能が重要なカギを握る。

 その意味では、重い車載電池とレイアウト上の諸問題から、内燃機関車よりも設計も製造も難しくなる筈だ。

●「自動車」を造る技術が無いのに

 内燃機関車で幾多の問題を解決して、ノウハウを積み重ねたメーカーが、EV車になったが故に引き起こされる上記の問題を解決して、なお且つ内燃機関に劣る電動モーターと車載電池の難題を解決して、漸く「EV車」が色々問題を抱えつつも、やっとの事で一定ジャンルをカバーするに至る。

 それなのに、ポット出のノウハウも技術力も無いメーカーが「バッテリー電動車」を製造するから、新車のまま在庫に積み上がり、「EV車の墓場」を形成するのだ。

 自動車後進国が、自動車の歴史を転換することは、本来不可能だと自覚すれば、出来損ないの自称「EV車」なんぞを乱造して、地球規模の汚染源になることは無い筈だ。

 まともな「自動車」が造れてこそ、「高級車」造りの資格が得られることを認識することが大切だ。(記事:沢ハジメ・記事一覧を見る

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