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物流2社:三井倉庫HD&丸全昭和運輸の期初早々の「増配」に感じた「?」
三井倉庫ホールディングス(東証プライム)。倉庫業界大手で、総合物流業を展開している。そんな三井倉庫HDが第1四半期開示と同時(8月2日)に増配(通期134円を142円)を発表した際に、瞬間「?」と首を捻った。期初予想では「189円から134円」の減配計画だったからである。
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が増配計画に修正した経緯を知り一転、老舗企業の「芯」を痛感させられた。期初の通期収益予想は「6.9%減収、23.0%営業減益、29.6%の最終減益」。
だがこれを期初予想比で「営業利益を15億円、純益を8億円」、早々に上乗せ。その理由を、「海上・航空運賃の仕入れコストコントロールによる営業利益率の改善」。「家電メーカーや家電量販店の物流の上振れ」。「収受料金の適正化が当初計画を上回り推移したなどの結果」と説明した上で、「至2027年3月期の中計で、配当性向30%を基準とする機動的な配当の実施を掲げておりそれに沿った措置」と訴求した。
時価は4080円、配当利回り2.78%。IFIS目標平均株価4267円を勘案し、まずは配当を口にしながら押し目買いに徹するのが妥当であろうが・・・物流事業を巡る環境はいまそれほど目まぐるしく変わってきているということの姿を知らされた。
丸全昭和運輸(東証プライム)。総合物流企業。3PL(荷主企業に代わり物流の企画・設計・運営を担う)や、工場の移転を得意としている。旭ファイバーやライオンなどと繋がりが強い。
増益階段を着実に上っており今3月期も「9.3%の増収(1540億円)、14.2%営業増益(145億円)、12.0%最終増益(100億円、最高益更新)」計画。そして8月7日に第1四半期開示と同時に、「中間期配を10円増配し、年間の配当を110に引き上げる」と発表した。
「会社の業績と配当性向、ROEなどを総合的に勘案し安定配当の継続を基本としている・・・」と丸全昭和では語ったが・・・。ある種の疑問が頭に浮かんだ。「年間の好調な増益率は認めるが、第1四半期は前年同期比0.8%の営業減益。期初段階で増配を発表してもよかったのではないか」。
事実、株価は7月31日に4225円(年初来高値)をつけたが8月8日には3965円。ハッと思いついたのはPBR水準(時価、0.66倍)へのテコ入れではないかという判断。とはいえ、時価(3800円水準)の配当利回りは2.3%余。投資妙味は十分とみるが・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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