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政府のNTT株売却で起こりうることとは!?
●政府がNTT株の売却を検討
政府が保有するNTT(日本電信電話)株売却の検討を本格的に進めると、ロイター通信などが報じている。
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25日の自民党党大会で、本格的な検討に入ったと同党の荻生田政調会長が表明。報道を受けて、後場にNTT株は一時2%安となるなど、市場から嫌気された模様である。
NTTの完全民営化を視野に入れていると見られ、完全民営化になるとNTTがどう変わるのか?NTT株は投資家からはどう映るのだろうか?
●NTT民営化の歴史
NTTは、1985年に民営化され、1987年に上場している。通信事業に競争原理を導入することが狙いであったが、逆に独占力が維持されたと問題視されていた。
そこで、東西の地域会社、長距離通信、移動通信のNTTドコモなどに分社化された。
1998年10月にはNTTドコモが東証1部に株式上場し、独自のネットサービス「iモード」の契約者数の伸びも追い風となり、2000年には上場から5倍の株価にまで上昇した。なおNTTドコモは2020年12月にNTTの完全子会社となって上場廃止となっている。
NTT株は、NTT法により政府が3分の1以上の政府保有比率となるように、規定されている。日本政府はNTT株を約4.5兆円(2022年度末)保有していると見られている。
●政府の思惑とNTT株の今後
政府の目的は、防衛費増額に伴う財源確保が狙いと公表されている。本格的な議論はこれからになるだろうが、今後完全民営化への議論は進むだろう。
2023年7月には25分割の株式分割を行ったが、民営化への地ならしとの憶測もある。
民営化により、競争原理による値下げなどのサービス向上や、経営の自由度が高まり海外展開や経営の効率化が期待できるなど、投資家にとってはメリットもある。
一方で、利益追求によりサービスが悪化しての値上げや、過疎地域が切り捨てられるというデメリットも考えられる。
しかし、これらはJRや郵政民営化の時にも叫ばれていたことで、経営を揺るがすほどのことになるとは考えづらい。
ただし実際にNTT株の売却が実行された時には、需給の悪化が懸念され、一時的に株価が下落することも警戒が必要である。
政府保有株はJT(日本たばこ産業)や日本郵政などもあり、今後はNTT以外にも売却の話が出てきてもおかしくない。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
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