太陽工業、害獣対策に「コンクリートキャンバス」販売 薄くて高耐久

2023年7月13日 17:24

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防護柵の下に敷いたコンクリートキャンバス(画像: 太陽工業の発表資料より)

防護柵の下に敷いたコンクリートキャンバス(画像: 太陽工業の発表資料より)[写真拡大]

 太陽工業(東京都世田谷区)は12日、害獣対策向けに「コンクリートキャンバス」の販売を本格的に始めた。水をかけるだけで高耐久なコンクリートマットができ、イノシシなどによる掘り起しを防ぐ。農林水産省によると、野生鳥獣による農林水産被害は、2021年度で155億円発生している。

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 農地や公園、地下ケーブル、道路などの管理者を対象に販売する。イノシシが農地などに侵入するのを防ぐには防護柵が有効だが、柵の下から潜り込んで農作物を食い荒らしてしまう事例も多い。光ケーブルなど地下埋蔵物周辺の地面を掘り起してしまうこともある。

 掘り起しを防止するには、周辺の地面を耐久性の高い素材で覆う必要がある。コンクリートキャンバスは、水をかけるだけで高耐久なコンクリートマットができるため、埋設すれば害獣対策に有効だ。

 コンクリートキャンバスは、イギリスで開発された複合材料を用いている。ポリエステルや塩ビフィルムでできた立体織物の中に、特殊配合のドライコンクリートを入れている。設置後に散水すれば、コンクリートが硬化する仕組み。薄くて耐火性も高い。

 これまでも水路工事や防草防竹工事で導入されており実績がある。太陽工業は、害獣対策にも使えるか実証実験を実施しており、コンクリートキャンバスが鼻で持ち上げられないように溝を掘ってアンカーピンで固定。有効性が確認できたため拡販を行う。

 野生鳥獣による農林水産の被害はこの数年減少傾向にあるが、営農意欲の減退や離農・耕地放棄の増加につながっていると見られている。また、土壌流出や希少植物の食害などの被害も見られており、影響は深刻だ。

 太陽工業は、膜構造創造を行う企業。土木・建築・物流・環境など様々な分野で、膜面技術を用いた構造物や設備資材の企画・設計・製造・施工・販売まで一気通貫で手掛けている。東京ドームや幕張メッセ、羽田空港など様々な建築物の設備として採用されている。(記事:土佐洋甘・記事一覧を見る

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